・ ページ32
ついにやって来てしまった、紅白歌合戦の本番。
朝からの最終リハを終えて、本番まで待機。
衣装に着替えて、髪をセットする。
紅白用に新調された、真っ赤なドレス。
ゴールドの刺繍が可愛い、上品なシルク素材。
同じ色の手袋に、ゴールドの花が付いたゴージャスな髪飾り。
その衣装を纏った主人公は、誰よりも綺麗だった。
橋本「あれ、今日のAと飛鳥、髪型お揃いなの？」
A「気づいた？お揃いにしてもらったの！」
橋本「大人っぽくなったね…」
飛鳥とカメラに抜かれることが多いから、髪型を揃えた。
そしたら奈々ちゃんにも好評で、可愛いねって褒められちゃった。
さて、そろそろ本番かな。
寂しさはぐっと堪えて、泣かずに笑顔で終わりたい。
奈々ちゃん最後の紅白。
一瞬一瞬が記憶に残るような、そんなステージにするんだ。
:
「橋本奈々未さん、紅白ラストステージです。
それでは聞いて下さい、乃木坂46でサヨナラの意味」
玲香からのサプライズの手紙に始まり、感動的なムードのままイントロに突入した。
何度も見てる振り付け、何回も聞いている前奏。
なのに、奈々ちゃんが麻衣ちゃんと目を合わせてた瞬間。
麻衣ちゃんが、奈々ちゃんの眼差しに微笑み、小さく頷いた瞬間。
本当に、奈々ちゃんはもうすぐいなくなるんだって実感した。
＿＿私、もうそろそろ時間だ
＿＿大丈夫、この先は私に任せて
＿＿ありがとう、頼んだよ
＿＿うん、頑張るね
声にならない声が、聞こえてきそうだった。
2人の意思の疎通が、映画のように美しかった。
じんわりとした優しさに満たされ、曲は進む。
1音1音、大切に歌い上げる。
橋本奈々未の織り成す物語に、色を添えていく。
そして、彼女のソロパートは生歌だった。
主人公はいつも通り、丁寧に歌う。
＿＿＿いい顔だ
本当に、この曲が終わった瞬間。
カメラに抜かれた主人公を見て、お兄ちゃんは言った。
その声が、イヤモニを通して私達にも聞こえた。
背中から表情は読めないけれど、きっと清々しい顔をしてるのだろう。
想像に難くないけど、ちょっぴり信じたくない自分がいた。
終わってしまったんだ、と気付かされるから。
こうやって、どんどん最後が終わっていく。
もう残されているのは、本当に最後の瞬間。
彼女の卒業コンサートだけになってしまった。
今日流さなかった涙は、その日まで取っておこうと決めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 400人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「妹」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美紀 - 移行おめでとです最高ですコロナウイルスに気をつけてくださいね (2020年11月20日 14時) (
レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
陽香(プロフ) - 瑠奈さん» リクエストありがとうございます。お時間頂きますが、書かせて頂きます！ (2020年9月19日 9時) (レス) id: 29c64901f3 (このIDを非表示/違反報告)
陽香(プロフ) - ひなさん» リクエストありがとうございます！お時間頂きますが、書かせて頂きます！ (2020年9月19日 9時) (レス) id: 29c64901f3 (このIDを非表示/違反報告)
陽香(プロフ) - 瑠花さん» リクエストありがとうございます。お時間頂きますが、書かせて頂きます！ (2020年9月19日 9時) (レス) id: 29c64901f3 (このIDを非表示/違反報告)
陽香(プロフ) - kaさん» リクエストありがとうございます。お時間頂きますが、書かせて頂きます！ (2020年9月19日 9時) (レス) id: 29c64901f3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しろりんご。
| 作成日時：2020年9月7日 0時
