雲間がはたちあまりむっつ ページ26
駄菓子屋に着くと、この間とは違ってお店が開いている
中にはいつものレジ横でおばぁさんが座っていた
いらっしゃい、よくきたねぇ。
雨が大変だったろぅ。
こんくらい平気だぜ?
先輩達が他愛もない話をしてる横目で自分は文具コーナーを見てみた、下も世話になってるノートや昔使ってたノート鉛筆やボールペンなどいろんなものがある
そしてその中に新品の紫陽花の絵が描かれた便箋があった
あっ。
ん?
どうかしたのかい?
おや、それは…。
どこか懐かしむようにおばぁさんは微笑んだ
あー。ばぁさん。
最近これを買ってった人っていないのか?
最近じゃあいないねぇ。
文具を開いているとは言ってもみぃんなよく使うのばかり買っていくだろう?
便箋なんかは買っていきやぁせんよ。
じゃあなんでこれ置いているんですか。
…。
それはね、亡くなった私の妹の大好きな便箋なんだ。
姿形は変われど、紫の紫陽花は変わらなくてね。償いのために、忘れないようにずっと開いているのさ。
おばぁさんは右腕を摩りながら、お店の出入り口の方へ行った
まだしとしととふる雨を懐かしむように明るい外を見やった
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作者名:あげのり | 作成日時:2022年5月21日 20時