雲間がはたちあまりふたつ ページ22
どのくらいたったか、気がつくと自分の体が寝返りが打たないほど重くなっていた
いや、自分の体が重いというより何かに押さえつけられているように感じた
ゆっくりと目線を下ろしていけば仰向けになっている自分のお腹の上に蹲るように、縋るように丸くなっている白い存在がいた
…え。
そこにはあの白いワンピースの女の子がいた
いや、正確には今は白いワンピースではなく自分と同じ白い病人服を着ていた
体は相変わらず動かず遂には目すらその存在に釘付けになった
それかきっと生存本能が働いているのだろう
目を離したら殺されると
どこか冷静に考えている自分がいるが、内心心臓は破裂しそうなほどに早鐘を打ち、冷や汗が滝のように溢れてくる
早くこの時間が過ぎ去ってくれと
どうして…？
どぉして…なの？
わたしずっと、ずぅっとここぉでまってぇたのにぃ。
さみしい、さみしい…
どうして？どう、して…どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして。
でもね、もういいの、もういいよ。
さみしくなくなるほうほうかんがえたの。
ずっといっしょにいられるほうほうかんがえたの。
えへへ、ねぇ、迎えにきたよ。
これからはずっと一緒。もう寂しくないね。
だんだんと近づいてくるその存在が変わらないはずなのにどんどん成長しているかのように感じた
そして伸びてきたその手が行く末を見ているとそれは自分の首まで伸びてきた
徐々に力が込められて行くその力は到底少女の出せる力ではない
苦しい
離してもらおうと手を引っ掻き踠くも全く力が入らない
男女の差があるはずなのに歯が立たない
どうにか息を吸おうとするも一向に息は入って来ない
どうにかしようと手足をばたつかせるも押し除けることもできない
酸素が足りないのか目の前がチカチカしてきて視界が暗くなってくる
最後の抵抗に手を強く握りしめて…
そこからの記憶はない
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作者名：あげのり | 作成日時：2022年5月21日 20時
