悪魔の子【約ネバ】 (ページ10)

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鉄格子の様な窓の外を、少し眺める。
明かりもない庭は、昼間と違って闇が、静寂の波が、呑み込んでいるようで。
この穴だらけの窓から見ても何か新鮮だった。

「…そろそろ、寝なきゃ」

部屋に戻る兄妹達の流れに紛れ、自分の部屋へ戻る。
この部屋は結構騒がしい。
何でだろう。

まだ肌寒い季節なので、ベットの上に置いてある毛布を被る。
騒ぐ声の中、自分の意識だけがふかい闇の底に引きずり込まれる事を感じながら、僕は眠りについた。

△▽△▼▲▼

「アレクトはさ、大人になったら、何したい？」

幼い自分に、当時いつも安心して聞いていた声。
まだ声変わりのしていない、男の子の声。
昔の僕は、その問いに「んー、とね」と考え、「 ___ になりたいな」と言った。

___やめて

「そっかぁ」

と、＊＊が呟いて。
ママの声がとおくから聞こえて、彼に手を引かれて歩く。
彼は笑みを浮かべているが、何か仮面を被っているような、偽った笑みだ。
昔のぼくはそれに気付かず、嬉しそうだなぁと思いながら彼を見上げていた。

___ やめてよ

「なれるといいね」

酷く悲しそうな笑みで、かれが言った。
なんでそんなにかなしそうなの、と言おうとしてもじぶんは決していわなかった。
きいてはいけない。そんな気がした。

だれかないてる。だれがないてる？

きみがないてる。

◇◆◇◆

嗚呼、そうだ。
これは夢だ。
じゃないと彼が現実にいる、ということになる。
そんな訳ないじゃないか。

彼はもう、死んだのだから。