【刀剣乱舞】その捌き、三名槍の彼の如く【蜻蛉切】 (ページ27)

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桜の花弁26枚ページ27

あれから暫くは、私が蜻蛉切の部屋に通う毎日となった。

そして、そのうち、木枯らしが吹き、木は葉を纏うことは無くなった。

部屋には火鉢を置き、その温もりを求めて、外からは獣が訪れるようになった。

蜻「不思議だな。この本丸の森に動物が居たなんて思いもしなかった。」

貴「ええ。しかも、こんなに人懐こいとは思いませんでした。

ああ、兎さん。そんなに近づくと火傷しますよ。」

兎はキッと鳴くと、私の膝の上に丸まって、寝始めた。

蜻「寂しいものだな。もう傷はすっかり無くなってしまった。Aと過ごす日々は退屈などすることがなかった。

私はAと共に暮らしたい。

そこでだ。Aはこの頃、他の刀剣とも話せるようになっている。これなら、大広間にも出ることができるのではないだろうか。」

貴「....貴方はどうお思いなのですか？」

蜻「私はAに、皆と仲良くなって欲しいと思っている。多少きつい喋り方をする者もいるが、皆優しい。

皆にAが取られぬかが心配だが....」

貴「なんでしょう？」

蜻「いや、なんでもない。どうだ？考えてみないか？」

貴「貴方がおっしゃるなら、....はい。今日、行ってみます。」

蜻「そうか！それは、良かった。」

蜻蛉切は自分のことのように満面の笑みを浮かべた。

蜻「ならば、今は昼だから、夕餉の時だな。私が燭台切殿に大広間に夕餉を運ぶように言っておこう。

大丈夫だ。私が側にいる。」

貴「....っはい。」

私が少し笑うと、蜻蛉切が少し赤くなった。

それと同時に、膝の上に乗っていた兎が縁側に飛び出した。

すると、縁側の下から、一回り大きな兎が出てきて、さっきの兎を舐めた。

そして、くるっと此方を向くと、ぺこりとお辞儀をして、森へ走っていった。

貴「あの兎たちは、番なのですかね。」

蜻「そうだろうな。」

火鉢の火が、ふっと消えた。