78話 ページ28
「ただいまぁ〜」
久しぶりに、お兄ちゃんや、ちい兄と会える年末年始。
久しぶりに2人にも会えるのが嬉しくて、普段ならそんなに寄り付かない、ちい兄のところへ真っ先に行ってみる。
勇人兄ちゃんだけは、病院の送り迎えを買って出てくれてるおかげで月イチで会ってるから私のこともいつも見てくれてるけど、ましてお兄ちゃんには家族もいるし、全然会えてなかった。
勇人「A、テンションだけで乗り切ってるけど、体疲れてるやろ。顔色、あんまよくないで」
三男「今日はもう遅いし、ここまで帰ってくるのに長旅も疲れたやろし。お前、はよ風呂入って寝たら?」
2人からはそんなことを言われて、心配してくれてることも、自分がそこまで体調良くないことだって分かってるけど、久しぶりの実家だ。
久しぶりに会えた兄弟と、会えなかった時間のこと、ゆっくりいろんな話もしたいし、それに年末のテレビだって見たい。
だから少しだけわがままをいえば、仕方ないなぁ〜なんて笑って許してくれる兄3人。
「あ…」
甘やかしてくれる兄たちからリモコンを受け取って、適当にパチパチとチャンネルを切り替えたテレビに目を向ければ、どの局をつけても事務所の先輩たちや…Jr.の仲間。
年末年始は、彼らが特番や歌番組に引っ張りだこなことくらい、分かっていたのに。
でもそこに映るメンバーの編成は、やっぱり私がいた頃とは違っていて、少し苦しくなった。
勇人「…A?」
「いや、なんでもない。ただ…やっぱり変わるなぁって…中にいたら、気づかんかったかもしれん。ずっとこれが当たり前やったから…」
勇人「A……」
「ごめん!やっぱ、先お風呂入ってくるな!兄ちゃんたち待たせるんも悪いから。ね?」
兄ちゃんたちの、なんともも言えないって雰囲気に耐えきれなくて、テレビのチャンネルを変えることなく、慌ててそんな画面から逃げ出した。
1年前に突然病気がわかって、決まってたドラマへの出演は愚か、ずっと先輩たちと同じ道を辿れるんだと信じて疑わなかった、高校への進学さえ白紙になった。
それでも生きるしかなくて、手術や治療に耐えて、ようやく前を向いて、決心をして…。
本当にいろいろな経験をした。
とても濃い時間。
でも…。
「結局忘れられてないのは…私やん…」
236人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かん。(プロフ) - 美紀さん» コメントありがとうございます!2nd seasonもよろしくお願いします(^^) (2020年5月5日 13時) (レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでとです最高ですコロナウイルス流行ってるので気を付けてくださいね (2020年5月5日 12時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かん。 | 作成日時:2020年4月23日 22時