私の天使4

クリスマスイブ ページ28

そして12月24日

夜公演は17時から


生まれて初めて
部活をサボった


泉先輩には
もう知らんって言われてしまったけど…




開場と共に入場して席に着いて
相変わらずそわそわ


前まではヒロコが横で
なだめてくれてたな…


1階の5列目上手席


ちょっとまって、
近い……

席間違えてないかって
何回も確認する

ふとチケットの裏を見ると
すごく小さな薄い字で



"終演後川に行きます"




『・・・・』


間違いなく章ちゃんの字で
そう書いてある

両手にチケットを持って
しばらく固まってると
照明が落ちた



周りの人たちがキャーキャー言いはじめて
音響が大きく鳴り響き、
幕が上がってコンサートが
始まった

大きな花火の音と共に
ジャンプして目の前、
数センチ先に現れたのは

『しょ、ちゃんっ、、、』


周りの声とか音響とか
うるさいぐらい鳴ってるはずやのに
何も聞こえなくなって、

自分の心臓の音だけが
高速で動く音がする


あの雨の夜の日、

あの日以来の章ちゃん


あいたいって気持ちとか

触れたいって気持ちとか

…好きっていう気持ちとか


全部まとめてしまってたはずやのに


一気に湧き出して
どうにかなってしまいそう


髪が明るくなって
後ろ髪も前髪も長くなってる

顔つきもぐっと大人っぽくなってて


カッコいい…


前はもっと後ろでバックダンサー
って感じやったのに
いつのまにかメインメンバーの1人に
なってる

着実に進んでるんや

見たいのに涙で滲む

あいたかった
ずっと
あいたくてあいたくて

心の温度がじわじわ上がってく



ふと下手側に目をやると




え？

目の錯覚？？

亮ちゃん…？


めっちゃ身長伸びてる………

目をゴシゴシしてもやっぱり亮ちゃん


10センチ以上伸びてるやんな？



その瞬間、亮ちゃんがこっちを向いて
マイクこそ口元にないものの
あーって言いながらこっちを指さしてきたから

小さく手を振ってみたら
踊りもそこそこに
私と章ちゃんを交互に見るから
ハラハラする

思い出したかのように振りに戻ると
今までかわいかった亮ちゃんが
いつのまにかかっこいい亮ちゃんに
変化してた

真正面で踊ってる章ちゃんは
3階席を見つめてて私とは目が合わない

終始見つめてるのに
全く目が合わない

あぁ、これが
ファンの人の気持ちなんかな

なんか切なくなる



これでほんまに最後なんかな…

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