殺し屋と解体屋の日常【Diner】

太平洋のパエリア。 ページ10

澪side


数本のリキュールを持って帰ると


柊が握っていたグラスが変わっていた



元のグラスはスキンの手に


『ちょ…スキン！なんで君が飲んでるのかな？』


ス｢未成年に酒を渡すのはやめるんだ｣


『過保護！ばーかばーか』


ス｢お前に言われてもな｣




ふんと私は席に戻ってリキュールの本数分グラスを用意した


ストレートで飲み比べ、これ程楽しいものは無い


『ふーんふん』


柊｢…はぁ｣




私が並べた数々のグラスの先でため息を零す柊

どうせ、スキンに大人に見られたいとか思ってんだろ


私はもっと前から飲んでたぞ(いけません)




『スキン〜カクテルなら許す？』

ス｢ダメだ｣

『グレープフルーツかオレンジジュース』

柊｢やっぱり子供扱いされてる｣


空気に消えてしまいそうな柊の独り言


普通なら誰一人気付かなかっただろう


でもここにいるのは腕の立つ殺し屋ばかり


誰の耳にも届いた



少し涙目になった彼女にスキンは既に落ちていた

ス｢弱いのならな｣

『よし！』


私は度数の低いライチのリキュールを握る




『ボン！青いのとグレープフルーツ出して』

｢ザ・ブルーだ｣


びゅんとカウンターから投げられた２本の瓶



それをパシッと片手で掴むとグラスに氷を入れリキュールを1、青いのを3の割合で注ぐ



ガラスの下にゆっくりと青い液体が溜まった



そこに、グレープフルーツジュースを注ぎ込んでいく


透き通った青は柊の髪を連想させた


とっても…綺麗


『チャイナブルー

度数も高くないの選んだし、ね？』


スキンも頷き、酒を口に運んだ



『ほら』


柊｢ありがとう｣



少し辛口だが飲みやすく作ったので大丈夫だろう


満足だと柊を見ていると私の前にアレがきた


『わぁ！！』


ボンベロが持ってきたのはシュークリームだった




3つほどシュークリームが乗った皿の上には


苺、オレンジ、マンゴーなどのカラフルなフルーツ

その上に粉雪のような砂糖が振りかけられていた



ボ｢借りるぞ｣


そう言って私たちのテーブルに乗っていたリキュールの中からカルーアを掴み


カウンターへと戻った



ボンベロはロックグラスを手に取り丸い氷を入れる



そしてカルーアとウォッカを混ぜて私に提供した



『ブラック…ルシアン』


｢合うように作った、飲め｣


『うん！』



シュークリームとルシアンの奏でる甘さが口の中を駆け巡り


私は幸せの絶頂にいた

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