殺し屋と解体屋の日常【Diner】

フランボワーズのムース。 ページ27

澪side


あの雑魚達のものであろうバイクに足をかけた私は無礼図とその仲間たちが集うバーに向かった



あの煌びやかな空間は苦手だ



脇腹から血が滲む、しかし既に服は真っ赤であるためそんなには目立たない


こんなカッコで行ったら余計潰されそうだな


なんて考えながら、バイクを走らせていた



バーについた私を待っていたのは無礼図の部下、しかも意外といい位置にいるやつ


雄澄華瑠…


深く被った帽子から黒い髪と切れ長な目が覗く


『どうも』

｢無礼図様がお待ちです｣


『そんなこと分かってるよ』



ゆっくりと震える足を進め、無礼図がいる奥のテーブルまで来た


この空間に吐いた息が戻ってくるような息苦しさ

醜い私がいていい場所なのかと、ここに来れば必ず思う


無｢やぁ、澪くん｣

『…こんばんは』


返す言葉を探してもなんと返せばいいか分からない

無｢こないだ、君には忠告したはずだが

私の駒を安安と殺されるのは困るんだ｣


『でも…！』


無｢言い訳を聞きたいわけじゃない｣



私の話を聞くどころか話させてもくれないこの現状


ほんとに、折が合わないし何を考えているかも分からない

この人ほど、中が闇に包まれている人などいるのか


無｢何を考えてる｣


『無礼図さんの美しさについてですかね』


無｢…君は本当に嫌いだ｣


『同感です』



敵船の真ん中で、しかも武器は既に取り上げられ丸腰の私に


何が出来るのだろうか



私は後ろ盾してくれる組織が居ない



気分で動くから、どうしてもいろんな所から少なからず反感を抱かれる



『…殺され方選んでもいい？』

無｢ああ、いいだろう｣



無礼図は少しだけ悩むような顔をしてから、口を開いた



『銃で1発、無礼図の手で』


無｢わかった｣




私の眉間に銃を当てる無礼図


その銃は彼が持つにふさわしく美しく輝いていた


『ふふふっ』



やはり、情報が伝達していなかったのだろう


それが意図的か偶然かは置いといて


柊が絡んでいると知っていたとしても、スキンまでとなるとそんなにすんなり私だけで済むはずがなかった



マトバにまで被害が行っていただろう





『案外楽しかった』




最後、もう一度だけ願いが叶うなら



ボンベロに殺されたかったなんて




思ってしまった

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