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そっと
財布の中から紙切れを取り出す
見慣れない電話番号が質素に書かれた
何の紙なのかも分からない切れ端
あの日3人を連れ出した時に
科学者に渡されたものだ
『やっぱ、話する必要はあるよな』
残りの休暇をただみんなで過ごして
このまま何も知らずに幸せに暮らすのと
こいつらの昔を知ること
きっと、知れるものは知った方がいい
それは分かっているけれど
なんでか、少し怖い気持ちがあるのも確か
こいつらの全てを知ってしまったら
俺はいつかこいつらを手放さないと
いけなくなるんじゃないかと
そう思ってしまう
こいつらが前は普通の人間だったことは
とっくに知っていたはずなのに
もし元に戻せるとなったら
俺は素直に見送れるのか
分からない
ただ、今分かるのは
俺がこいつらにとっていい選択であろう
昔を知るという道を外れ
変わらない今を生きたいと思ってしまう
最低な人間であるということだ
ーーーーーーーーーーーーーー
『…もしもし』
「やぁ、Aくん…だったかな？てっきり連絡寄越さないと思ってたよ」
『怪我の治療で忙しかったんですよ。肩をやりまして』
「ま、君ガリガリだったもんね」
『今は割と食べるようになりましたよ。お宅の小人さんのおかげでね』
「それは良かった」
相変わらず考えの分からない男だ
ヘラヘラしてるようで
その仮面向こうには冷たさを残してる
うちでいう鬱みたいな人
『あの話の続きをしたい。時間を作って貰えますか』
「あぁ、もちろん。日にちはそっちの予定に合わせるよ」
『いや、俺も今は特に忙しくないので…あぁ、大学明日休みなんですけど、その日はどうですか？』
「明日か…うん、大丈夫。私も研究所を脱退してからは暇してるんだよね」
『そうですか、ほんとにあの研究所とは縁を切ったんですね』
「そりゃ、好きであそこにいたわけじゃないからね」
ならなんでこいつらを連れて
あそこを離れなかったんだ
そう言いかけた口を閉じ
声が荒がるのを抑える
寝不足だったロボロとコネシマを
無理やり寝かしつけたばっかなんだ
起こしたら悪いもんな
「明日は君があの子達を見つけた公園で…君一人で来るんだよ、あの子達の中には私を嫌う子もいるだろうからね」
『言われなくとも、あんたには会わせない』
「そ？…じゃあ明日」
だってもし俺じゃなくこの男がいいと
こいつらに言われたら
俺はきっと壊れてしまう
.
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雪見大福(プロフ) - 泣きながら読みました！これからも無理せず頑張ってください！ (2021年3月19日 23時) (
レス) id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
絵描きさん(プロフ) - トマトジュースさん» ありがとうございます！！やっとですね…(号泣)頑張って更新させていただきます！ (2019年10月2日 11時) (レス) id: 215c832e11 (このIDを非表示/違反報告)
トマトジュース - 救出おめでとう(号泣)トン氏がついに心を開くのか……？あとなシッマ…察しちゃダメだ……。察した私も悪いが。えー、これからもですね、はい、更新頑張ってください。無理せず更新おねがいします。 (2019年10月2日 6時) (レス) id: b4078055ec (このIDを非表示/違反報告)
絵描きさん(プロフ) - りつさん» ありがとうございます！！ (2019年8月7日 12時) (レス) id: e46d68e377 (このIDを非表示/違反報告)
りつ - めっちゃすきです！！続き楽しみにしてます！！！ (2019年8月6日 19時) (レス) id: a91baceb22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：絵描きさん
| 作成日時：2019年4月7日 11時
