毒の花 ページ23
「──A先輩。朝ですよ。」
「......あぅ」
あれから、月日が経った。
A先輩が転生をした後、主に私が先輩の世話をしている。
世話.....というのは烏滸がましいかもしれない。
「監督生さん!大変です!ビッグニュースですよ!!」
「ふなッ?!朝からうるさいんだゾ!」
すると学園長が寮にやって来た。
「学園長......今度は一体何が?」
半ば学園長は興奮しているように見えた。
「実はですね....!」
「「えぇ〜〜〜〜〜ッッ!!」」
寮内に絶叫が響く。
「.....まだ何も言ってませんが。」
「.......ノリが悪いんだゾ。」
「まぁ、こういうのはお約束って奴ですよ。」
「あぁ〜」
A先輩も心做しか学園長に私たちと同じように文句を言っている気がした。
「おや、Aさん今日も元気ですね感心感心!」
学園長は私の腕の中にいるA先輩の頭を一撫でした。
オホン、と改めるように一つ咳払いをして、学園長は口を開いた。
「監督生さん、あなたは元の世界に戻る事が可能になりました!」
「...........っえ?」
耳を、疑った。
「監督生が.....?元の世界に?」
グリムも驚きの声をあげていた。
「はい!良かったですねぇ〜」
学園長は手をパチンと鳴らしてそう言った。
「いつ戻るかは監督生さんにお任せするので決心が着いたら教えてください。」
学園長はいつもと変わらぬ笑みを浮かべてそう言った。
あぁ、でも。と学園長は言葉を続けた。
「絶対にこの事は内密に。」
そう言って、学園長は寮から姿を消した。
「あう〜?」
「........っは、大丈夫だよ。ごめんね。」
A先輩がそう声をかけなければ呼吸を忘れていた。
その一日はずっと上の空だった。
何度もエースやデュースに相談しようと思った。
でも、学園長の言葉が木霊して声が喉につっかえたように出なかった。
何もすることも無く、ただ心配されるだけで一日が終わろうとしていた。
「ねぇ、グリム。」
「なんだゾ。オレ様もう寝たいんだゾ。」
すやすやと眠るAさんを見ながらグリムに話しかける。
「..........私が元の世界に戻ったら皆悲しむかな?」
私のその質問にグリムはなかなか答えなかった。
「.......オレ様は悲しいゾ。」
沈黙の後に放たれたグリムのその言葉に思わずグリムを見た。
「ふふ、ありがとう。」
真っ直ぐ見つめるその瞳を見て涙が溢れそうになったのは秘密だ。
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∞輪廻∞(プロフ) - アイスさん» ネージュはフランス語で雪という意味があるので、そう命名しました!そういう質問待ってたありがとうありがとう!! (2021年6月29日 16時) (レス) id: a7a0dcccc8 (このIDを非表示/違反報告)
アイス - こんにちは。とても面白くてすぐに読み切ってしまいました。ところで、夢主ちゃんの名氏が「ネージュ」ですが、なにかネージュ君と関係があるのでしょうか? (2021年6月28日 21時) (レス) id: 50003851a2 (このIDを非表示/違反報告)
∞輪廻∞(プロフ) - 夢色ふぅなさん» そういう反応を待ってたよぉぉ!!!()ありがとう!!無事完結出来て良かったです!ありがとうございました! (2020年11月28日 22時) (レス) id: 5125d15ab3 (このIDを非表示/違反報告)
夢色ふぅな(プロフ) - 最後号泣しちゃいました…()とっても面白かったです…!! (2020年11月28日 22時) (レス) id: 4a2b5a8613 (このIDを非表示/違反報告)
メロンパンの皮(プロフ) - 灰鴉さん» あっ..........しくった........教えてくれてありがとうございます!すみません直しておきます!指摘感謝です! (2020年11月18日 21時) (レス) id: 5125d15ab3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:∞輪廻∞ | 作成日時:2020年10月24日 23時