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29 (健side) ページ31

今日はいよいよ美月の家に行く日だ

ずっと行きたいと思っていた

でもなかなか言い出せなくて






勇気を振り絞って言ってみると、案外すぐに返答が帰ってきた





美月の家に着き、インターホンを押すも応答がない


(っ⋯まさか、倒れてたりしないよな⋯!?)



不安に思い、何度も押すも応答がない


心配になりドアに手をかけると鍵はあいていた




(あんまり、気は引かねーけど、仕方ない⋯)


静かに家に入ると、とても綺麗に片付いていた

それに、優しげないい香りもする





そんなことよりも今は美月だ


健「美月ちゃーん!」



声をかけるも応答がない


健「お邪魔します⋯」




廊下を歩いていると、かすかにピアノの音が聞こえてきた

奥の部屋からだ






気になり、音のする奥の部屋にいき、ドアにある小さな窓から中を見ると、美月が目を閉じ、優しげにピアノを弾いていた




(えっ、美月ちゃん、ピアノ弾けるんだ⋯!すごいな⋯⋯)



しばらく見続けていると、聞いたことがある曲を弾き始めた




(これ、聞いたことあるな⋯⋯なんだっけ⋯⋯⋯あ、あれか⋯!)




弾き終わったようなので、静かに部屋に入った


貴「あ、柴崎くん⋯⋯⋯ごめんなさい、気が付きませんでした⋯」


健「いや、いいよ。それより、ピアノ上手いね⋯⋯今弾いてたの、「妄想速攻曲」でしょ?」



俺がそう言うと、美月はポカンとした顔で見つめてきた



そして、腹を抱えて笑い始めた


健「な、なんで笑ってんの⋯?」

貴「ふふ、ふふふ⋯っ⋯⋯柴崎くん、それを言うなら「幻想即興曲」ですよ」



そう言って笑い続けた


俺は物凄く恥ずかしくなり、顔を逸らした



貴「ですが、聞いたことはあったのですね⋯良かったです⋯」

美月は優しく微笑みながら俺を見つめていた


そしてピアノを片付け、立ち上がり


貴「リビングへどうぞ⋯⋯お茶を出しますから」



微笑みながらリビングへ案内してくれた





(それにしても、綺麗だな⋯⋯家も、容姿も⋯⋯)





キッチンの方から戻ってきた美月は、俺の前に紅茶とクッキーを置いた



(え、これって⋯⋯⋯手作りだったり⋯?)







(そうなら俺、舞い上がりそうなくらい嬉しいよ⋯!?)

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作者名:りんご飴 | 作成日時:2019年6月6日 23時

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