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うるさいなと顔を顰める。そんな僕を隠すかのようにヒバリさんは僕の腕を引っ張って前に出た。その表情はどことなく険しくて、ヒバリさんをそっと窺う。
理由は分からないけど、あれは僕に向けられているものじゃないから、放っておいてもいいのかな。沢田綱吉のことを庇うほど、僕はお人好しじゃないし。
「あのー、ちょっとよろしいでしょうか？」
「何だ？」
「グッドニュースですよ！情報収集に出ていたビアンキさんとフゥ太さんが帰ってきましたよ」
全く状況が掴めないんだけど。僕にも事情を説明してほしいよ。ヒバリさんは何も教えてくれなかったし。ヒバリさん、と服の裾を引っ張ると、ヒバリさんは僕を見て表情を和らげる。何と優しい声に口を開こうとした瞬間、ビアンキさんの声に遮られた。
「リボーン！！」
涙を浮かべたビアンキさんがリボーンに抱きつく。フゥ太も部屋に入ってきて、沢田綱吉とにこやかに会話をしていたと思えば、僕の方を向いてパッと笑顔を浮かべた。
「A兄！！A兄は本当に変わらないね！」
「そう？」
「うん！でも、10年後の方がもうちょっと優しいかも」
へらりと笑うフゥ太の言葉に首を傾げる。僕が優しい、か。そうなのかな？まあ、10年も経てば僕の態度も多少軟化するのかな。別に厳しくしているわけでもないんだけど。
ううん、と考え込んでいると、仕込みトンファーが展開される音が聞こえた。
「これ以上群れれば咬み殺すよ」
「ひいいっ！！」
怯える沢田綱吉に振り落とされるトンファー。避けることもできずにボロボロにされていく沢田綱吉を眺めていると、ヒバリさんは飽きたようでトンファーを収めた。振り向いて僕に帰るよと言うと、ヒバリさんは歩いていく。あれ？結局何しにきたの？
「A」
「っはい！」
ヒバリさんに呼ばれて扉まで向かう。最後に部屋を一瞥して、ヒバリさんのあとについていった。
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作者名：怜
| 作成日時：2022年10月11日 19時
