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*** ページ44

「どうして、そんなことを…」

「だから、ユウの交友関係を広げるためだって」
「そんなことしなくても、僕には友達がいます!Aさんだってその一人です!」


思わず、Aさんの言葉を遮ってしまう。仲良くしたいだけなのに。仲良くして欲しいだけなのに。
ギッと睨むようにAさんの目を見る。僕の気持ちも知らないで、Aさんは簡単に離れていってしまうんだ。


不意に温度が下がった。見る見るうちにAさんの目が鋭くなっていく。
…………あのときと同じ。冷たい目だ。


「ユウ。お前が異世界から来て、不安で堪らないのは分かる。だけど、俺に依存するのは違うだろ」

「依存なんか!僕はただ!」

「それに。俺は自分が決めたことを邪魔されるのが嫌いだ」


どんどん冷えていく目。それに伴って空気も重くなった。

いやだな。さびしい。
Aさんがまた遠くなる。

唇を噛んで、手を痛いくらい握った。


「本当に依存なんかしてないです……」

「どうだろうな」


鼻で笑うAさん。
我慢ならなくなって、思わず。


パンッ


乾いた音が響く。手がジンジンと熱くなった。髪の隙間から鋭い目が僕を睨む。

自分の手に目を落とした。信じられなかった。僕はAさんを。
グリムも僕を信じられないようなものを見るような目で見て。Aさんは黙って立ち上がる。

謝らなくちゃ。はやく。口を開いて。はやく。

パタン、とドアが閉まる音。


「ユウ、オマエ!」

「グリム〜!僕、ぼく!叩いちゃった!Aさんのこと!どうしてぇ……」


ぽたぽた、涙がこぼれ落ちた。僕が泣くのは違うのに。涙は止まってくれない。
あんなに冷たいAさんは初めてだった。前だって、あんなに冷たくなかった。

僕が理想を押しつけてるだけなの?Aさんは噂通りの人なの?でも、でも…。


「まったく、世話の焼ける子分なんだゾ。次会ったら謝ってガツンと言ってやればいいんだゾ!」

「う、んっ…ぐすっ」



その日はそのまま寝た。グリムは僕に寄り添うように寝てくれた。

次会ったら絶対謝るんだって。それから、きちんと話すんだって。決めたのに。決めてたのに。



Aさんと会うことはなかった。

バッドタイミングと説明→←交友関係と依存



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ァ゛ - ''監督生''じゃなくて''魔法の使えない人間''なのがもうそれで…👏👏すごい好きです… (2022年1月4日 14時) (レス) @page25 id: 7c50d108a0 (このIDを非表示/違反報告)
- こんなに面白い作品は初めてです…!ところどころ(?)不良っぽい部分とか好きです!これからも頑張ってください!!あ、どうしてB○のタグが付いているのかが気になって夜しか眠れません(( (2021年5月3日 20時) (レス) id: 4ea2abc19e (このIDを非表示/違反報告)
ぱぁ - 5ページが現金なやつになってますよ!神作ありがとうございます! (2020年9月16日 19時) (レス) id: 3f15dcefd5 (このIDを非表示/違反報告)
ハクグン(プロフ) - 監督生くんの無自覚なウザさが最高にいいスパイスになってると思ってます、頑張ってくだs…いえ、全力で応援するんで対価として無理しない程度の頑張りを! (2020年9月15日 10時) (レス) id: d2ad143a92 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - tearilさん» コメ返遅れてすみません!かなり読み込まれていらっしゃるようでお恥ずかしい……ありがとうございます!頑張りますねー! (2020年6月7日 16時) (レス) id: f9826c0595 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年6月4日 15時

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