アマリリス (ページ43)

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『･･･っ、』

私の手は暖かいもので包まれて、
目の前に感じていた寒気はなくなっていた。

ぎゅっと誰かに抱きしめられる。

だけど、それはさっきの男じゃない。
優しくて、暖かい。

私の大好きな匂いがする。

「･･･目、あけて」

私が目を開けると
目の前には涙目になって立っている隼くんがいた。

私の頭に手を置いて優しく撫でてくれる。

･･･すごく、安心する。

『･･･はやと、くん、』

「･･･無事でよかった、」

そう言って笑顔を見せた隼くんの目からは
一粒の涙が零れた。

その涙を拭ってあげると、
隼くんも私に同じことをした。

隼くんの親指は大きくて男の子って感じるの。

「Aさんも泣いてる」

『･･･はやとくんだって、なんで泣いてるの、？』

ぎゅっと、ぎゅっと。

力強く抱きしめてくれる隼くん。

よかった、よかった。って何度も言って
私の背中をさすって頭を撫でてくれる。

そんな彼の背中に私も腕を回して
ぎゅっと強く抱きしめた。

「･･･何もされてない、？」

『･･･うん、はやとくんのおかげだよ』

「･･･よかった、」

「男の人に引っ張られていくAさん見かけた時、気づいたらアイツのこと追い払ってた。･･･Aさんに何かあったらどうしようって、何かされてたらどうしようって、不安で怖かった」

『･･･はやとくん、？』

「･･･大切で、大切で、大好きだから、」

隼くんと離れると、私の両手を握った。

僅かに震えている手。

ごめんね。ごめんね、隼くん。

隼くんにも怖い思いさせちゃった。

･･･隼くんも無事でよかった。

「･･･Aさん、」

「好き。大好き。もう、そんな言葉じゃ足りないくらい好きです。大切なんです。」

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もう知らないふりなんてできない。

こんなにも真っ直ぐで
出会った時からずっと私だけを見てくれている。

そんな彼を無視することなんてできなかった。

彼を放っておけなかった。

いつでも嘘をつかずに
真っ直ぐな思いを伝えてくれた。

私も、自分の気持ちに素直にならなきゃ。

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