アマリリス (ページ31)

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北人 side

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『チーズフォンデュ！』

「どう？」

『ふふっ、嬉しい！食べてみたかったんだぁ、こういうの』

「こういうのって冬に食べるからこそ美味しいでしょ？」

『あ、冬に頼ってる』

「･･･」

『ふふっ、かわいい』

両手で頬杖をついてテーブルで向かい合う俺とAさん。
この状況でさえやばいのに、ましてや俺の事をかわいい、って笑ってるのはもっとやばい。
チーズフォンデュが目の前に来ればテンションは最高潮。
目を輝かせて子供みたいに喜んでる。
あー、来てよかった。

『北人くん、口の横にチーズついてる』

「･･･っ、」

スっ、とAさんから伸びた手は俺の口元に触れた。
Aさんの手についたチーズはそのままAさんの口の中へ。

『もう、私に負けずお子ちゃまだね』

「･･･、」

『･･･北人くん、真っ赤、･･･』

「･･･こっち見ないで」

『なんでそんなに赤いの？私何かした？それとも熱？』

「･･･違う、違うからっ、」

『ふふっ、照れてるのか北人くん！』

「･･･っ、！」

『ふふっ、ほら、食べよ？』

いたずらに笑って、美味しそうにパンを食べる。
チョコレートフォンデュもしたい、って追加で頼んで二人で食べた。

この人は俺が照れるってわかってわざとああいうことする。

それでもこの人のことが嫌いになれないのは惚れた弱み。

むしろ、この気持ちが加速する一方･･･。

ほんと、小悪魔な人。

『ねぇ、なんで照れてるの？』

「･･･教えない」

あなたがかわいいから、
あなたが好きだから、なんて
死んでも教えない。

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