アマリリス (ページ30)

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教えないページ30

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『おはよう、北人くん』

「･･･おはようございます」

12月25日。午前10時。

駅の改札口。北人くんと待ち合わせ。

何気にちゃんと北人くんの私服を見るのは初めて。

カフェの時はジーパンに白Tシャツ、それにエプロンだから、コートとかマフラーしてる北人くんはなんだか新鮮で、すこしかわいい。

「･･･かわいいとか思ってます？」

『うわ、バレた』

「･･･かわいいのは、Aさんの方です、」

『･･･え？』

「やっぱりなんでもない。今日は迷子にならないでくださいね」

『子供扱い』

前に2人で買い出しに行った時、私は迷子になって北人くんに見つけてもらったことがある。

いい歳して何してんすか、って軽く怒られて。

その時ははぐれないように、って手を繋いでくれた。
北人くん、こう見えて優しいんだよね。

『今日はどこ行くの？』

「内緒です。ほら、行きますよ」

ぎゅっ、と繋がれた私の手。

えっ、と目線をあげると何？って。

ずるいなぁ、この人。
何？って聞かれたらなんにも言えないもん。

「本当はイルミネーションとか見に行きたかった」

『そうだよね･･･、なんかごめんね』

「いいんです、Aさんが楽しければなんでも。だから昼間でも楽しめるようにするんです。冬だからってイルミネーションなんかに頼ってられるか」

『ふふっ、ありがとう、北人くん』

そんな話をしながら私たちは街中にある落ち着いた感じのお店に入った。

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