Push & Pull ページ20
.
10月30日の金曜日、午後6時に到着するボーバトンとダームストラング校を出迎えるために学校全体が浮き足だっていた。
ハーマイオニーは図書室へと行ってしまったし、昼休みに何をしようかとAは中庭を横切りながら考える。
外廊下まで来たところで正面からやって来るカップルと目が合ったので足を止めて、Aはおだやかな声で話しかけた。
｢こんにちは｣
｢やぁ｣
｢そちらは？｣
Aからの挨拶に、セドリックも足を止めてから嬉しそうに一緒に並んだ女子生徒をAに丁寧に紹介した。
チョウ・チャンと呼ばれた黒髪の5年生はレイブンクローのローブを着ている。
｢チョウ、Aは知ってる？｣
｢えぇ、ホグワーツで彼女のことを知らない人はいないわ。有名人だもの｣
｢･･･どうも｣
気のせいか、チョウの言葉に少し棘を感じてAは引きつった顔を隠すように大袈裟な笑顔で差し出された手と握手した。
すぐに分かった。
たぶんチョウに良く思われていない。
じゃあ、とAはすぐにその場を去ろうとしたがチョウはそうさせてくれなかった。
｢Aの彼氏は対抗試合に立候補するの？ウィーズリーも6年生でしょ？｣
｢本人はしたいみたいだけど誕生日まだなのよ。セドリックは？｣
｢いや、僕は･･･｣
｢もちろんするわ。17歳だし、魔法も上手くて勇敢だから｣
｢そ、そうなのね｣
場を取り持ってもらいたくてセドリックに聞いたはずなのに勢いよくチョウが答え、その様子に押され気味にAは半歩後ずさる。
すると後ろには誰も居ないはずなのに、両肩に手が置かれて上を向くと朗らかな笑顔があった。
｢ウィーズリー！すごいな、Aといると絶対に君が出てくる｣
｢褒め言葉として受け取るよ｣
｢心配はいらないよ。彼女のチョウだ｣
｢なんの心配もしてないけど、わざわざ紹介ありがとう。A、面白いものがあるんだ。行こう｣
｢それじゃあ2人とも、また｣
別れ際まできれいに笑顔を貼り付けたチョウと、普段通りににこやかなセドリックに別れをつげてAは手を取られたまま通ってきた中庭に降りて、外廊下から見えない場所まで来ると握られていた手を解放された。
｢ジョージ、どうしたの？｣
あの場から助けてくれたジョージの顔を見て、Aは今さらながら驚いた声をあげる。
｢困ってるかと思ったから｣
｢どうして？｣
｢廊下歩いてたら、そこでディゴリーが修羅場ってるって騒いでるのが聞こえてさ｣
｢修羅場？｣
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 722人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
トオ(プロフ) - 更新有難うございます…！次も楽しみです❕ (2022年9月28日 10時) (
レス) @page50 id: 140729f59d (このIDを非表示/違反報告)
しらたまコ(プロフ) - みらんさん» 更新してからお返事しようと決めていましたが、大分遅くなってしまいました。ダンスパーティーまでまだありますが引き続き頑張りたいと思います。コメントありがとうございます!! (2022年9月18日 22時) (レス) id: c3dd0cadc5 (このIDを非表示/違反報告)
しらたまコ(プロフ) - とうふさん» お返事がとても遅くなってしまいすみません。更新はするつもりでいます！どうかもう少しお待ち頂ければと思います…！応援のお言葉ありがとうございます!! (2022年8月21日 0時) (レス) id: c3dd0cadc5 (このIDを非表示/違反報告)
みらん - ダンスパーティーのところ楽しみにしてたので残念です。更新待ってます💪💪 (2022年8月13日 0時) (レス) @page41 id: e061b386f2 (このIDを非表示/違反報告)
とうふ(プロフ) - もう更新はないのでしょうか？？ 更新楽しみにしています…！！ (2022年7月21日 0時) (レス) @page41 id: 2c85f96aa8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しらたまコ | 作成日時：2022年2月12日 0時
