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吊り上がった目尻と低い声。見間違いようがない。
「わぁ、剣城も雷門中に入学したんだ！ 」
「……」
「その制服かっこいいね。リストバンドも刺々ついてて可愛いなぁ。自分で用意したの？ 」
「は、反田さん！ 」
剣城の方へと歩み寄ろうとした私を、松風君が慌てた様子で引き戻す。何事かと松風君の顔を見ると口元に人差し指を添えていた。その時やっと部屋にいる大半の人が私を冷ややかな目で見ている事に気づく。
咄嗟に口を両手で塞いだ。(今更だけど……。)
「やっと来たな、典子」
円堂さんがニカッと白い歯を見せて笑う。その笑顔を見ると、強ばった体が少し解された。
円堂さんは選手の方へと向き直り真剣な趣で語りかける。
「後はお前達次第だ。よく考えろ、自分の心の中にあるサッカーに正直になれ」
「──何を言っとるんだ君は！ 」
怒鳴り声に驚く間もなく、自動ドア前に捌けていた松風君と一緒に突き飛ばされた。
「いてて……」
「大丈夫？ 反田さん」
私が転ばぬ様支えてくれた松風君に口パクで大丈夫と伝える。
ぶつかって来た当の初老と思しき男性二人組は、私達に一瞥もくれぬまま円堂さんを捲し立てはじめた。
「何も反省していなかったのですか！？ フィフスセクターの指示を守れと、私達はあれ程……！ 」
口振りから察するにどうやら雷門中の偉い人の様だ。
「ホーリーロードはただのサッカー選手権ではなく、聖帝を決める大切な選挙なんですぞ」
「逆らえば私達の……いえ、雷門中の立場が危うくなるのですよ？ 」
「監督として今一度言いたまえ！ フィフスセクターの指示は絶対だ。この試合、確実に負けるのだと」
「駄目です！！ 」
あんまりな言い分に堪らず大声を出してしまった。狭く窓も無い更衣室は声が籠りやすいらしい。私の声がビリビリと響く。
「ちょっ、典子ちゃん……！ 」
足元にいる西園君が私を止めようとジャージの袖を引っ張った。
「だ、誰だね君は。大事な話をしているんだ、静かにしていなさい」
「反田いい加減にしろ」
部屋の奥にいた神童さんが震えた声で私を窘める。怒っているのだろう。拳が硬く握りしめられていた。
「金山理事長に謝れ。今はマネージャーが口を出していい場面じゃ」
「──ソイツはマネージャーなんかじゃない」
落ち着いており、それでいて殺気の籠った声に皆が目を向ける。声の主は今まで静観していた剣城だった。
「反田典子。俺と同じファーストランクのシードだ」
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やに(プロフ) - 杳覇さん» くらちゃんコメントありがとうございます(^^) 頑張りますー！ あと早速誤字やらかしているので、読み直し徹底して行きたいと思います恥 (2021年7月12日 10時) (
レス) id: 73f24c4202 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - よっしゃ新作きたーー！！！ あああ一話目から面白そう……！！ え、え、めっちゃ楽しみです……！！ 更新待ってます！！ あとその、「急な転向」って「急な転校」ではないでしょうか……！ (2021年7月12日 10時) (レス) id: 7468c0248e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やに | 作成日時：2021年7月12日 10時
