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目前の事実に、カラマトゥは絶望していた。
“何故、何故こんな事に”
そんな疑問の言葉ばかりが吸血鬼の頭を支配した。
考え込んでしまう吸血鬼は隙だらけで、一松は拳を振り上げた。
________避けられない!
カラマトゥは覚悟を決めて、ギュッと目を瞑った。
…しかし、殴られる事はなかった。
カラマトゥがゆっくりと目を開けると、目の前には拳があった。
「ひっ」と悲鳴を上げたが、それよりも奥の一松に目がいった。
一松は目に涙を溜めて、「やだ…いやだ……」と呟きながら震えていた。
彼の拳が、微かに光を帯びていた。
“……之は、”
カラマトゥはギンと目を見開いた。
拳だけじゃない、一松の体を何かの光が覆っているのだ。
吸血鬼は手を素早く伸ばし、一松の首にかけた。
強く絞めれば、一松は呻き声を上げた。
一「…くる、しい…………!」
カ「一松…すまない、少し、我慢してくれ…!」
顔を歪め、涙を零しながら訴えるシスターに、カラマトゥは哀しそうな顔で、柔らかく優しい声で彼をなだめた。
が、直後低いトーンとなったその声は、冷たく、獣の唸り声のようだった。
カ「…神よ、例え貴方であったとしても、一松を器として使う事は我が許さない。
今すぐ、一松に、一松の体を返して下さいッ…!」
より強く、カラマトゥは相手の首を絞めた。
と、一松の体が光り、何かが其れから飛び出し消えた。
一松の体はぐらりと傾き、カラマトゥの腕の中に収まった。
カ「すまなかった、一松…」
一「俺…こそ、ごめん………
こんな事に、巻き込ん、で……」
カ「……一松、君の過去の事を訊いても…いいだろうか」
申し訳無さそうな其奴の声に、一松が儚げに笑う。
一「いいよ…でも、聖域、の中に、入ったら、ね……」
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おそ松さんgirl(プロフ) - みくさん» ありがとう!頑張る!! (2018年6月3日 23時) (レス) id: 1f58a69c9c (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - 面白いよ!更新頑張ってね! (2018年6月3日 23時) (レス) id: 7f167612e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:松壱 | 作成日時:2018年5月20日 12時