古びた教会の吸血鬼1 ページ2
.
此処はとある古びた教会。
木の生い茂る森の奥にあるせいか、もう何十年も前から使われていない。
もう此処を知る者も居なくなってしまったであろう。
しかし、そんな教会に立ち寄る者の姿があった。
彼女は…いや、彼はシスター、一松。
男なのにシスターである理由には、今は触れないでおこう。
教会に入れば、埃とカビの混ざった臭いが鼻をかすめ、
所々に蜘蛛の巣が見られる。
灯りはなく、中は闇に包まれていた。
彼は自前のランプを取り出し、火を灯せば、辺りはほんのりと明るくなる。
足元は多少見えるので、物につまずく心配はなかろう。
ゆっくりと進めば、奥に祭壇があり、十字架が月に照らされ光を放っている。
それを見るなり、シスターはおもむろにナイフを取り出すと、
ランプを放り、一直線に十字架へと駆けて行く。
床に落ちたランプは割れ、ガラスが飛び散り、火は床の上で揺れていた。
ナイフを大きく振りかぶり、十字架に突き立てた。
十字架にヒビが入る。
一「神なんて……知るものかッ…!」
低音でよく響くその声は、震えていた。
一「何故、俺に生を与えた…!
こんな残酷な事をなさるなら、何故…!
いっそ、いっそあの時死なせて下されば、俺はこんな思いしなくて済んだ!!」
ナイフを持ったまま、彼はその場に崩れ落ちた。
涙が、床に落ちた。
彼はナイフを強く握りしめ、自分の胸に刃を向けた。
付けていた十字架のネックレスは、千切られ床に捨てられた。
一「あんたが悪いんだ…!
あんたが俺を、こんな風にした…
俺は神、あんたを憎む…。」
ナイフが彼の胸を突いた。
もう少し力を入れれば、きっと心臓に突き刺さる…
はずだった。
?「ふぅむ……自分で自分の命を絶つ、あまり感心しないな。少年?」
そんな声が、聞こえてきた。
4人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おそ松さんgirl(プロフ) - みくさん» ありがとう!頑張る!! (2018年6月3日 23時) (レス) id: 1f58a69c9c (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - 面白いよ!更新頑張ってね! (2018年6月3日 23時) (レス) id: 7f167612e6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:松壱 | 作成日時:2018年5月20日 12時