現実に監視されている以外は普通に零の兄貴です。「名探偵コナン」

七話 ページ8

そうして銀行にやっとたどり着いた。 が、しかし。

俺、そもそも銀行なんて使用しないんだった！ いや、ね？ 泥棒とかにやられたら一文無しになるのは分かってるけど、全財産を家に置いてるんだよね、あはは。

｢それにしても…｣

あまり、銀行だから大きな声は出せないけどさ？ 右下のコメントが秒速で流れて、読むこともままならないんだよね。

頻繁にチェックを入れてる訳じゃないけど、これだと流石に目が回りそうになる。

そして零の個人の場所にお金を振り込むことはいくら兄弟とは言え、無理があるので家族共有の口座に振り込む。

連絡を入れれば受け取ってくれるだろう、多分。

久しぶりに兄として何かして上げられたかもしれない。 いや、これじゃあ足りない可能性も。

今度、時間のある時に俺の財産をもう少し持ってくるか？

――あれから、銀行を出て歩いているが、ポアロで久しぶりに零を見かけてしまったせいで、ありとあらゆる金髪の後ろ姿をみるだけで手を伸ばしてしまいそうになる。

零とご飯、また食べたいなぁ……

「あの！ すみません」

声をかけられ、後ろを振り向けばミニスカ仕様のスーツをバッチリと着こなした女性がいた。

話を聞くと迷子になってしまったらしい。 特に予定もなく、兄としての義務を遂行できて気分が良かった俺は快く案内を、する事になった。

なにやら、探偵事務所に用があるらしい。 それなさっきの道を戻れば良いだけかな？

――

｛エンディングテーマみた！？ この前の謎イケメンがソファーに座って不敵な笑みを浮かべてたんだけど！？｝
｛へ？ なになに？ ってことは新たな組織の？｝
｛いやでも、長野県警の人みたいな低出現率の可能性もあるよね……｝

何もしてないのに、ここでまさかのエンディング！？ 俺が、そんな、なんで、なんで

零とセットじゃないんだっっ！

……と、今すぐに叫びたい気持ちは山々だが、女の人からこれでもかと言うほど冷たい目で見られそうなので理性を優先した。

｛でも私、なんかこのキャラ苦手かも……｝

ちょっと待て？ コメント……流れが一段落してからだったから思いっきり目に入ったが、、なにこれ、すっごい傷ついた。

零！ 早く髪をモフらせて。


そのころ彼は……

「着替えも終わったしいまから兄の彼女の素性を掴みに行こう。ってあれ？ まさか、あれが…彼女？ 通行人に紛れ込むか……」

今ならもれなく彼は、弟にそっぽを向かれるはずだ。

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