現実に監視されている以外は普通に零の兄貴です。「名探偵コナン」

四十一話 降谷side ページ42

最後までクスノキは俺の兄貴のことを、兄さんの事を侮辱していて殴りたい気持ちでいっぱいいっぱいだったが、それをグッと堪えて連行されていくそいつを見送って丸一日が経過した。

安室としてもバーボンとしても降谷としても上手く裏で動くことに成功して、今日は一日兄さんの病室に居られる事になった。

時折苦しそうに、唸って冷や汗をかいているからもっていたハンカチで拭いたりはしている。

それでも、意識のない苦しんでいる兄さんを見て俺は情けないなと改めて思った。 幼少期の頃から一緒に居たのに忘れてたなんて。 いいや、よりよい現実に逃避してるだけに過ぎなかったって言う方が正しいか。

大人になってからは兄さんは元気だと言い聞かせていただけに過ぎない。

「誰か先客が居るとは思ってたが、弟だとは……兄が危篤になってやっと現れ……危篤？ あぁ、そうか。 生きてる……死んで、、ない」

来てそうそう、顔なじみの主治医が僕に対して文句を言ってきたと思ったら今度は不謹慎なことをつらつらと述べだした。

おおかた、クスノキが機械を抜いた段階でこの主治医に何かを吹き込みでもしたのだろう。

「それにしても、本当に改めて見るとカフェの店員に似ている。 だから彼奴もその人に縋りたくなるんだろうな」

なにか一言文句の一つや二つでも言い返そうお思ったが、こんなにも心配してひどく安心しきった顔で兄さんを見る此奴を見てそんな気も失せた。

「兄さんのこと、いつもありがとうございます……」
「いえ……それが私の仕事ですから」

胸を張ってさわやかに返事をしたが俺は知ってるからな。 ポアロに二人で一緒に来てる以上しってるからな？ 主治医の口が多少悪いことも。

まぁいい。

「っっ……瞼が重い」

微かな、近くの丸椅子に座ってる俺じゃなきゃ聞き逃すような掠れた声量でベットから声が聞こえた。

「ふあぁぁ……ってなんでおまっいっは！？？」

ばかみたいに大声で欠伸をする兄さんに若干笑ってしまう。 しかし最初に主治医をみて驚くのは違くないか？ 数分前に来たばかりじゃないか。

途端に俺の方をみて、数秒固まった後に安室さん？ と聞いてきた。

「安室さんとは？ 兄さん……久しぶり」

さっきの倍固まった後に、兄さんはがばりと俺に抱きついて頭をもふもふしてきた。 さすがに他者の目があるところで子供扱いするのはやめてくれ。

「僕も子供じゃないから……離してくれよ」

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