三十三話 ページ34
「症状の事は君の主治医から聞いてるよ、辛かっただろう? 楽になりたいなんて思ってないかい?」
うざい……うざい。 うざい!!
隣に座ってきながら、ずっと耳元でしゃべり続けるクスノキさん。 さっきからあんな調子で嫌味ばっかり言ってくる。
何をって? ベットが足りなくなる時もあるんだ、だったり未知の病に割く研究員が足りないなど、俺の事を邪魔者だとでも言わんばかりだ。
あー、あ。 去年まで代わりで入ってたあの先生が良かった。 確か海外に移住したと聞いたけど。
「あぁ……はい」
「話きいてます? さっきからそんな返事ばかり。 あいつが居ないから言うけど、正直ここの病院のスタッフ、新人除いてうっとおしく思ってるから……治療は期待するな」
そう言って憎たらしいほどの笑顔で病室を去っていったクスノキさん、いや医者の風上にも置けないクスノキやろう。
なぁーにが、うっとおしく思ってるだ。 んなのこっちは幼少期から知ってんだよ。 一向に治る気配が無いのにこうしてこの年齢まで生きてんだ。
直接は言わなくても、陰口は聞いている。 難病の子は人は、無事に完治するかすぐ死ぬかの二択なのにあの人は無駄に長生きしている、ってな。
そうだよ、俺は長生きしてる方なんだ。 今は点滴なしじゃ危険だけど。 後は睡眠時の酸素マスクだな。 たまに睡眠時無呼吸の症状が出ることがあるからと主治医が手配をしてくれた。
でも俺は、俺には生きる意味があったからなんだ。 だから一度死にかけてもこうして、また生きてるんだ。 そう言えばそうだ。 死にかけた日に俺の知らない俺の記憶が混ざってくるようになった。
まぁあんまり難しい事を考えても無駄だ。 とりあえず今日もまた寝て、明日に備えよう。 できる限りあの医者には会いたくないし。
「おやすみ自分。 次も無事に目覚められますように」
目覚められなかったら主治医に殴られる勢いで怒られそうだからな、生きなきゃならんのだ。
――
«やってくれんなよ、まじで»
«なぁ見た? 病院の通路のシーンが映った時に一室に降谷ってかかれてんの»
«え、なにまさか、本当に?»
«いや、んなわけ……マジで?»
«いやいや、もうちょっと様子を見てみようじゃん?»
文字は見てないけど、閉じてる瞼の裏側がうるさいんで少しは静かにしてくれないかな!? 一体こんどは何で荒れてるんだよっったく。
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ばってん(プロフ) - まだ読んでる途中なんですけど、安室さんってミストレで黒の組織ってわかったんじゃなかったですっけ…違ったらすみません! (12月16日 22時) (レス) @page27 id: 33b58415e3 (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - ひえ…泣いてしもた…ハッピーエンドってやっぱ良いよな…SNSの民のコメント達見れなくなったのは寂しいけども…めちゃくちゃ面白かったです! (2022年5月18日 23時) (レス) @page50 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
通りすがり - あと八話の「彼女を演じてくれ」という台詞は男主相手なので「彼氏」か「恋人」が正しいのではないでしょうか?
それと三十八話と三十九話のサブタイの「話」が一個多いです。
最後に質問なのですが、主治医さんは一体幾つくらいの設定なのでしょう? (2021年5月26日 7時) (携帯から) (レス) id: 4f4058a2da (このIDを非表示/違反報告)
通りすがり - 誤字脱字の類いがちょっと多い気がするのですが…投稿前に一度読み返すなりちゃんと確認をされたらどうでしょう?(^_^;)
特に気になる部分だけ指摘させて頂きますね?
五話の最後の方の台詞の「ロックをかけます」っていうのは一体どういう意味なのでしょうか? (2021年5月26日 7時) (携帯から) (レス) id: 4f4058a2da (このIDを非表示/違反報告)
雪月花 - 完結おめでとうございます!!更新の度に楽しく読ませてもらっていました!すいません46ページの愛用車が愛用者になっております....また、作者様が新しい作品を作っても必ず読みにいくので!これからも頑張ってください!応援しております! (2021年5月18日 1時) (レス) id: 338ebc2433 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ノルゼリィ | 作者ホームページ:
作成日時:2020年7月31日 21時