現実に監視されている以外は普通に零の兄貴です。「名探偵コナン」

三十一話 降谷side ページ32

いつもコメントくださる方ありがとうございます、本当に励みになります。
また、たくさんの方からもらったコメントは本当に嬉しすぎて定期で読み返してます。

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いま僕は、とても重くて硬い鈍器で殴られたかのような衝撃にクラクラとしている。

兄が…兄さんが余命わずか？ 二ヶ月？ 手術を頑なに拒む？ 意味がわからない。 いや、情けない話どれも受け入れたくないだけなのかも知れない。

今日もいつも通りお昼のポアロでのアルバイトを終えてから兄とお揃いの降谷として仕事に赴こうと思っていたのにな。

これは参った。

同時にいつも通り、兄さんが大変な時になにもしてやれない、する事が出来ない自分へ怒りが湧いてきて手のひらに爪がくい込むほど握りこんでしまう。

確かにあの兄さんのノリにはムカつくこともあるし、うざいと感じることもあるけど、それでも僕の大切な兄弟で唯一の家族であることに変わりはない。

考えたくないが、もし仮に最悪が起きたとしても今の僕にはその時に、近くに居てやることは叶わないだろう。

それに余命の話を聞いて、胸がすごく傷んだ。 ぼくの兄さんっぽい人を見かけたかもとマツダから連絡を受けてからちょくちょくと今日も米花町で見かけた、とか杯戸町で見かけたとは聞いていたが…まさか僕に会うためだとは。

一人の公安として近くの一人の人間と日本で暮らす何千万人という人々どちらを天秤にかけるかなんて一目瞭然だ。

なのに、それなのに今の僕に選択肢を与えられたら前者を選んでしまうだろう。 それほどに今、心は荒れている。

こんなんじゃ、諸事情で前線で活躍出来なくなったヒロにも喝を入れられてしまうだろう。

でも、兄さん。 いや兄貴。 なんで貴方はそんなに悔いがないような、いつも通りの馬鹿みたいな顔で笑ってられるんだ？

「僕には分からない」
「安室さん？ なにか言いました？」

つい。声に出てしまったようだ。

「いえ！ なんでもありません…すこし衝撃すぎて。 気分転換にデザートでも用意しますね！」

いや、結局はこうやって仮面を被って、偽りの笑顔で、安室でキッチンに向かう僕もおなじなのだろう。

降谷として…兄さんに会いたいな。


――

«はぁぁぁぁなんやねん、これ。 急な感動回なんやねん、これ。 なんであの人手術受けないねん»

«もう、ほんとこれあの二人家族説濃厚やん……いやこれで違う言われたら発狂するわ»

«場違いかもやけど、主治医好きになりそうだわ、私»

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