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誠司「・・・あ、そういえば、、」
A「なん?」
誠司「(ゴソゴソ)・・・お、あった。ほれ。(ポイッ)」
A「えっ、おっ、うわっ、、」
何かを急に放り投げられたことに慌てながらも、なんとかそれが落ちる前にキャッチできた。
キャッチしてから思う。
なんだこれ。
A「え、誠司。これ、なん?」
誠司「今日、クリスマスやろ。ずっと渡せへんかったから、やる。」
相変わらず、誠司は言葉が足りてない。
そんなんじゃ、分かんないよ。
誠司の心理が、分かんない。
A「クリスマスプレゼント?・・・私に?」
誠司「さっきから、そう言うとるがな。・・・メリークリスマス、A。」
A「え、ちょ、、」
メリークリスマス、と告げると、誠司は私とは反対方向に歩き出す。
追いかけたい気持ちは山々だったけど、とりあえず開けてみることにした。
小さなかわいい箱の中には、私が昔から欲しかったブレスレットと紙切れが入ってた。
きれいに折り畳まれた紙切れを広げてみる。
『好きや』
たった3文字。
決して上手とは言えない字だけど、
これのおかげで、やっと誠司の見えなかった気持ちが少し見えた。
私は、すぐ追いかけた。
私だって、ずっと渡したかった、渡せなかったものがある。
A「・・・っ、、誠司っ、!、、待って!」
誠司「・・・A、」
A「ほれっ。(ポイッ)」
誠司を真似して、私も投げてみた。
投げた箱は、白い雪の中を弧を描くように誠司のもとに落ちた。
誠司「ちょっ、、急に、なん、?」
A「私やって、ずぅーっと渡せへんかったから、それあげる。」
誠司「・・・」
A「メリークリスマス、誠司。」
言葉、ぜーんぶ誠司を真似してやった。
恥ずかしさを紛らわせたかったからやった、ってことはちゃんと認める。
けど、
誠司「・・・これ、」
A「なんか、おんなじやつ、持っとったみたいやね、、(笑)。」
おんなじブレスレットをプレゼントしようとしてたこと、
『好きや』
たった3文字が、おんなじだったこと、
両方とも、わざとじゃないからね。
誠司も、わざとじゃないでしょ?
だって、誠司の口角、ちょっと上がってんじゃん。
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にゃあ - 面白かったです! (2020年2月11日 22時) (レス) id: 6c1a3f5f49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Tsumu | 作成日時:2019年9月8日 17時