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仕事が忙しくなって、
なかなか野球が見に行けなくなって、
ましてやテレビを見る暇さえなくなって、
あっという間に時が過ぎてた。
それでも、疲れた体を一生懸命起こしながら
久しぶりにテレビをつけたときには必ず、
アナ『・・・読売ジャイアンツの今季最終戦が行われ、見事サヨナラ勝ちで締めくくりました。』
アナ『12回裏、2アウト、ランナー2塁の場面で、バッターはキャッチャーの小林。』
アナ『しっかり振り切れた、と初球を上手く右中間へ運び、土壇場でサヨナラ勝ちに導きました。』
“小林”選手が大活躍した、というニュースが流れている。
それを見る度に私は、
私はまだやれる
もっと頑張らなきゃ
そう思わされる。
そして、また仕事漬けの日々に戻る。
これの繰り返しで、なんとか大きなプロジェクトを乗り越えた。
疲れた体を癒やすべく、会社から大きな休みをもらい、実家に久々に帰ることにした。
A「・・・あ、お母さんっ。」
母「おかえり、A。」
A「、、ただいま。」
母の何気ない言葉が、いつも以上に心に染みた。
母の運転する車に乗り込み、家路をたどる。
すると、
母「・・・Aのこと、天気の神様も歓迎しとるみたいやね。」
A「・・・ほんま、やな、、」
車の窓を開け、少しだけ手を出してみる。
手のひらには、
可愛い小さな白い粒が乗っかって、
ジワジワと、静かに溶けていった。
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にゃあ - 面白かったです! (2020年2月11日 22時) (レス) id: 6c1a3f5f49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Tsumu | 作成日時:2019年9月8日 17時