雪が降ると＊1＊ (ページ16)

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あれから、

特に、大きな出来事はない。

１つあげるとすれば、

窓と窓で話すようになった。

誠司「・・・(ガラガラガラっ)おーい。Aー。」

A「(ガラガラガラっ)なにー？教科書やったら、貸さへんけど。」

誠司「教科書やない。ノート(笑)。」

A「どっちでもおんなじやろ(笑)。」

私の家の窓と、誠司の家の窓。

その距離、わずか1メートル。

学校で話すことはない、できない私たちは、私たちにしかない場所を見つけた。

それで、私たちは学校から帰ってくると、ここで話したり、喧嘩したり、するようになった。

A「数学のノートやろ？ほれ。(ポイッ)」

誠司「わっ、、急に投げんなよ。」

A「ええやん。貸してやってんのやからー。」

誠司「ありがとう。じゃ、宿題するわ。」

涼しい風が、私の家の窓から流れ込む。

もちろん、誠司の家の窓にも。

かすかに、やきいもの香りがした。

誠司・A「「・・・やきいもの匂い、、」」

呟いた言葉が、誠司と重なった。

やきいもの香り漂うあったかい風と、冬を感じさせる冷たい風が、

２人の間を割って入り、

「ヒュルルルル、、」

あっという間に過ぎ去って行った。

A「・・・しゃーない。やきいも買って来たる。」

誠司「よっしゃ。俺、でっかいやつな。」

A「ええよ。めっちゃでっかいやつ買って来たるわ。・・・」

でっかいやきいも、まだ残ってるといいな。

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