雪が降ると＊1＊ (ページ12)

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あれから、どうなったのかというと、

A「・・・あ、せい「誠司くんっ！」

誠司「・・・何？」

話しかけようとしては、遮られ、

誠司「・・・(パチッ)」

A「・・・せい、」

誠司「(フイ)・・・」

目が合ったと思ったら、すぐに逸らされ、

誠司「・・・あ、梨乃。」

梨乃「今日、帰る前にお茶しない？」

女の名前が分かったと思ったら、もう既に名前呼びで、

私が入る場所なんて、あの子に全て奪われてしまっていた。

でも、誠司だって私と話したいと思ってくれてるのかも。

誠司「・・・Aっ、」

A「誠司、、(チラッ)あっ、、」

梨乃「誠司くーんっ！」

A「(フイッ)・・・」

名前を呼んでくれる。

私が、あの子から逃げてるだけ。誠司だって、逃げてるけど。

本当のことが知りたい。

ただその一心で、何度誠司の家のインターホンに触れようとしたか。

でも、指からインターホンまでの数ミリは、縮まることはまだない。

A「・・・こんなことになるなら、」

こんなことになるなら、覚えておかなきゃよかったのかな。

記憶を失ってしまえば、辛くないかな。

考えるだけで、私は動こうとしない。ビビりだから。

「・・・ピンポーン」

母「はーい。(ガチャ)あら、久しぶりやね！」

？「今、A居ります？」

母「うん。ちょっと待っとってな。」

誰かが家に訪ねてきたらしい。

誰かと話す母の声が、2階の私の居る部屋まで聞こえてきた。

母「・・・Aー。お客さんやでー。」

A「・・・なにー？誰が来たん？(トン、トン、トン、)」

階段を降りながら聞くけど、母から返事は返ってこない。

玄関へと続くドアを開けると、“お客さん”が立っていた。

A「・・・え？」

母「ほら。誠司くんが、用事があるんやって。」

誠司「・・・コンビニ、行こ。」

A「えっ、、う、うん、」

動揺をどうにか隠そうとしながら、私は久しぶりに懐かしい背中を追いかけた。

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