17.どうも違う‐過去編‐ ページ19
それから、ひたすら自身の布を破って、怪我をしている所を隠した。
何故、たかが人間にこんなに必死になるのか。
それを疑問に思いつつ、その作業を繰り返した。
『………ごめんなさい。ありがとう。』
三日月「……」
全て終わった頃、確かにそう言った。
光も闇もない瞳で、無表情でそう言ってきたので、俺は何も言えなかった。
『…帰った方がいいよ。もうすぐ来る。』
三日月「…はて?何の__」
話だ、と聞こうとした時。
一人の男が、小屋を開けてきた。
俺は付喪神なので、普通の奴には見えない。だから、その人の子から突き刺さる視線を、近くで感じていた。
「…あぁ?んだよ、この布。まぁいい、どうせ無駄になるからなぁ!」
三日月「…な、何を……」
そう言うと、男は人の子の腕を掴み、何処かへ引きずる。
何か嫌な予感がして、ついていった。
そしたら、その人の子が、殴られていた。
暴言の嵐、傷がどんどん増えて、そして…
先程俺が破った布も、呆気なく赤く染まっていった。
三日月「……ほう。」
その時、確かに俺は嗤った。
何故だか分からない、面白くもないのに嗤った。
そして、いつの間にか、本体は赤く染まり、男は動かなくなった。
嗚呼…俺が殺ったのだな、と思った。
『…さっきの、人……どうして…』
三日月「……さぁな。俺も分からん。」
後ろに倒れていた人の子が、そう問う。
しかし、俺も分からなんだ、曖昧に答えた。
『…あなた、人間じゃない。神様?』
三日月「……あなや、これは驚いた。そうだ、俺は神だ。」
何処かの鶴程ではないが、これは驚いた。
まさか、俺が神様だと、気づくなんて。
俺がそう言うと、人の子は何処か微笑んで、こう言ってきた。
『神様……っ!私は、私っ…』
三日月「……」
微笑んだ姿は、とても綺麗だった。
どんな花より、四季より、刀より。
それは、どんなものも見惚れてしまう程の、綺麗な顔だった。
『…でも、ここにいちゃいけない。ここは、危険だから…神様は、傷付いちゃいけない、から…』
俺は人には見えないから、問題はない。
そう言おうとしたが、俺の手は、人の子の涙を、拭っていた。
三日月「…よいよい、その気持ちだけて充分だ。………して、お主はなんと言う?」
何故、名を聞いたか、分からなかった。だが、人の子は、気にせず、名乗った。
『……A。自分でつけた名前。』
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雪雫(プロフ) - 三日月の本霊がきていたから、薬研と新撰組も乱の中身が人間って知っているのでは?むしろ鶴丸の方こそ人間だと知らないのでは? (2019年12月27日 2時) (レス) id: 48f7317aae (このIDを非表示/違反報告)
みゆ(プロフ) - ありがとうございます!更新がんばってください! (2018年9月29日 15時) (レス) id: 866317dc4d (このIDを非表示/違反報告)
みゆ(プロフ) - 乱→145センチ 薬研→153センチ 寄って同じくらいではないです (2018年9月28日 21時) (レス) id: 866317dc4d (このIDを非表示/違反報告)
イケ(プロフ) - 12で三日月出てる? (2018年9月23日 22時) (レス) id: 85ff92ecab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤林檎 | 作成日時:2018年9月11日 23時