恋って何? ページ34
said いのお
「…えっと、ぎゅって…したい…です」
そんな風にお願いをしてきた山田は可愛かった。
真っ赤な顔を隠さずに、でも俯いて、俺の返事を待っていた。
クリスマスの時もこんな風に「ぎゅってしてもいい?」ってお願いしてきたけど、その時は軽く抱き合って山田はすぐに満足して離れていったっけ。
俺の沈黙を不安に思ったのか、だめ…?と弱々しく聞いてくるやまだに思わずだめじゃないよと返事をする。
きっとこの前みたいに軽く抱き合う程度だろう、ってそう思っていたのに。
俺の返事を聞いて山田は嬉しそうに笑った。
…この前とは何もかもが違っていたんだ。
気が付いたら俺は山田の腕の中にいた。
俺は座っていて、山田は立っているから俺の顔は山田のの胸の辺りに押し付けられている。
ドクドクとダイレクトに心臓の音が聞こえてきて、
あれ?これ山田の?それとも俺の??
分かんなくなって、混乱して…
ぶわっと顔が赤くなっていくのが分かった。
…あれがいけなかった、この前のキス。
一度それとなく意識してしまったら止まらなくなって、本当に山田は俺の事好きなんだって知ってたはずなのに改めて思い知らされた。
しばらくして山田は俺の顔を自分の胸から離そうとして、やばい、顔が赤いのがバレる、そう思って咄嗟に山田の背中に手を回した。
「い、伊野尾ちゃん…!?」
「ち、違くて…えっとっ…」
おかしい、おかしい、おかしい!!!!
こんな俺、知らない。
大ちゃんを好きだった頃だって、こんなドキドキはしたことなくて、一緒にいる安心感みたいなのがすきで、それを恋だって思っていた。
でも、山田は違う、一緒にいると無性に逃げ出したくなる。
「う、うぅ…」
「い、伊野尾ちゃん?大丈夫??」
「ぐすっ…ふぇ…」
「えええ!?な、泣いてる!?」
情けなくも、俺はぼろっぼろに泣いてしまった。
山田は何かを察してか、顔を見ないように抱きしめた体制のまんまでいてくれている。
涙やら鼻水やらが山田の着ていたニットについて、ごめんっと、離れようとすると大丈夫だから、と頭の後頭部を押されて胸の中に逆戻りした。
…おれ、なんなの?
こいつと一緒にいすぎてついに頭おかしくなっちゃった?
10分くらいたっただろうか、涙をなんとか引っ込めておそるおそる山田から離れた。
「……落ち着いた?」
「…うん。」
…聞かないのかよ、なんで泣いたのか。
俺もよく分かんないけど…。
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(名前)ここな(プロフ) - supikaさん» 無理言ってしまってすいません!supikaさんの作品全て大好きなので、ぜひお願いします!笑 (2020年4月3日 9時) (レス) id: f0baab4516 (このIDを非表示/違反報告)
supika(プロフ) - (名前)ここなさん» ここなさん!そんな風に言って頂けて嬉しいです!続編ですか〜〜笑 検討してみます!!笑 (2020年4月3日 6時) (レス) id: c2fc507797 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)ここな(プロフ) - ほんとにもうsupikaさんが書くもの全部好きです!もうどれもめちゃめちゃキュンキュンして、全部続編描いて欲しいぐらいです!笑笑 (2020年4月3日 2時) (レス) id: f0baab4516 (このIDを非表示/違反報告)
supika(プロフ) - shootingstarhapさん» コメントありがとうございます!感情の描写が上手く伝わっているようで嬉しいです!苦労して書いた甲斐がありました…笑 (2020年3月23日 20時) (レス) id: c2fc507797 (このIDを非表示/違反報告)
shootingstarhap(プロフ) - 読みました(^^)supikaさんのお話は、2人の気持ちが知れてこの時こういう気持ちだったんだ…とか知れてお話の世界にすっと入って…。素敵なお話でした。是非この後の2人のイチャイチャをもっと見たいなと思いました。凄く癒されました(^-^) (2020年3月23日 6時) (レス) id: 29c1b2b83b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:supika | 作成日時:2020年2月12日 23時