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らしくないじゃん ページ3

「伊野尾ちゃんさぁ?」

「ん〜??」

「こんなとこで1人で飲んでるなんてなんかあったの?らしくないじゃん」


結構な核心をついたはずだ。

そう、らしくない。
伊野尾ちゃんはこんなとこでひとり酒するような頭の悪い人じゃない。

見つけたのが俺だったからよかったけど、普通に(俺みたいな奴にお持ち帰りとかされたら)危ないし、ファンの子と遭遇する可能性だってある。

やけ酒して酔っぱってるなんて、相当辛い事とか嫌な事があったに違いない。

じっちゃんの名にかけていそうな名推理だと自分で思いつつ、自信満々で彼の方を見た俺は完全にフリーズした。



「……へ?」


俺の想像を遥かに飛び越えて、伊野尾ちゃんは弱っていたのだろう。
大きな目からぽろぽろと涙がこぼれ落ちていて、着ているジャケットの裾をぎゅっと握りしめている。

…どうしたらいいか分からず、その頬に触れそうになった。


「い、伊野尾ちゃ…」

「ふ、ふぇ〜〜〜〜ん!!!」

「ど、どうかしたぁぁ!?!?」


急に何かのフタが取れたように、子どものようにわんわんと泣き出した伊野尾ちゃんに焦り、思わず席を立つ。

居酒屋のおじさんから呑気に「兄ちゃん、可愛い子泣かすなよ〜」なんて言われたが、テンパって上手い返しも出来ない。

てか、周りの目も俺らに向いてて視線感じるし、

やばい…このままじゃバレる…!


俺は伊野尾ちゃんを連れて、急いで店を出た。







「はぁ…はぁ…お、重い…」


いや、伊野尾ちゃんは軽いんだけどさ。
ハードスケジュールをこなしてきた俺にとってはかなりの重量感だった。
ゼェゼェと息を荒げながらタクシー乗り場まで歩く。

当の本人は安心しきって俺の背中で寝息をたてて眠っていた。

…隙がない、なんて前言撤回もいいところだ。

隙ありすぎでしょ、今の伊野尾ちゃんは360度どの方面からでも襲えそうだよ!
この寒さで結構の薄着だし…。


「ん、ぐすっ…」


眠りながらも伊野尾ちゃんはたまに鼻をすすり、泣いている。

…一体全体、彼に何があったのだろうか。
あんな風に泣くなんて…。


「あ…」


そういえば俺、伊野尾ちゃんの家知らないや。




…よし、俺の家に連れて帰ろう。

いや、違うからね??
やましい気持ちがある訳ではなくて、伊野尾ちゃんの家どこか分かんないから、仕方なく俺の家に連れていくんだから。

誰に責められている訳でもないのに頭の中で言い訳をしながらタクシーに乗り込んだ。

虹が見えました→←弱みを握らせろ



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設定タグ:Hey!Say!JUMP , やまいの   
作品ジャンル:恋愛
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(名前)ここな(プロフ) - supikaさん» 無理言ってしまってすいません!supikaさんの作品全て大好きなので、ぜひお願いします!笑 (2020年4月3日 9時) (レス) id: f0baab4516 (このIDを非表示/違反報告)
supika(プロフ) - (名前)ここなさん» ここなさん!そんな風に言って頂けて嬉しいです!続編ですか〜〜笑 検討してみます!!笑 (2020年4月3日 6時) (レス) id: c2fc507797 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)ここな(プロフ) - ほんとにもうsupikaさんが書くもの全部好きです!もうどれもめちゃめちゃキュンキュンして、全部続編描いて欲しいぐらいです!笑笑 (2020年4月3日 2時) (レス) id: f0baab4516 (このIDを非表示/違反報告)
supika(プロフ) - shootingstarhapさん» コメントありがとうございます!感情の描写が上手く伝わっているようで嬉しいです!苦労して書いた甲斐がありました…笑 (2020年3月23日 20時) (レス) id: c2fc507797 (このIDを非表示/違反報告)
shootingstarhap(プロフ) - 読みました(^^)supikaさんのお話は、2人の気持ちが知れてこの時こういう気持ちだったんだ…とか知れてお話の世界にすっと入って…。素敵なお話でした。是非この後の2人のイチャイチャをもっと見たいなと思いました。凄く癒されました(^-^) (2020年3月23日 6時) (レス) id: 29c1b2b83b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:supika | 作成日時:2020年2月12日 23時

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