ハッピーエンドにさよならを04 ページ8
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どこいったんだあいつ。
櫻井翔の行方が気になって、辺りを歩き回る。
グラウンドには見当たらない。
少し歩いて、体育館を覗くと、そこに櫻井翔はいた。
長袖のジャージを脱いで、首元をパタパタとしている。
外は暑かったのだろう。
だったら長袖なんてつけなければいいのに。
だけど、櫻井翔が長袖長ズボンを着けている理由が、近づいてやっとわかった。
｢おい｣
｢………ああ、昨日の｣
俺が声をかけると、こっちを見た櫻井翔は、またすぐ視線を戻した。
｢なんだよこの傷。昨日のと別のだろ｣
｢…いじめっこがいじめられてるやつの心配してんの？笑えるねえ｣
俺を嘲笑うように一瞥した櫻井。
俺がこいつにこんなことを聞くのはお門違いなのは分かっている。
不思議なんだ、殴られてもなんの反応も見せず、殴られ屋みたいな櫻井が。
｢…なんなんだよ、おまえ。なんで殴られることに慣れてんだよ。おかしいだろ｣
どの口が言ってんだ。
散々、人が殴られて、助けを求めているのを見ていたくせに。
｢…人を殴ってストレス発散してるのがおまえらだけじゃないってだけの話だろ｣
俺の方を見ないまま、ぽつりとそう言う櫻井。
櫻井は、俺ら以外にも誰かに殴られていて。
ストレス発散の捌け口にされているんだ。
俺は何も言うことが出来なくて、立ちすくんだまま櫻井を見つめていた。
よく見ると、首元にまで痣が見えた。
｢……知ってる？｣
｢…え…？｣
｢殴られるのって、痛いんだぜ。すごく｣
穏やかな声で、遠い目をして櫻井はそう言った。
なぜだか、胸がチクリと痛んだ。
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血濡れ蛍 - ぽっぷ様、お久しぶりです。ぽっぷ様の作品の、ストーリー性や、表現の仕方に感動しながら読みました。特に、『ハッピーエンドにさようならを』を読んで、思わず涙が出てしまいました。今後も期待しています♪ (2021年4月2日 13時) (
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作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2021年1月11日 0時
