はじまりの空05 ページ45
.
ずっともやもやしていた。
松本とうまく話せないまま土曜日がやってきた。
松本は行くのかな、とあの日からずっと同じことを考えている。
何度も連絡しようとしてはスマホの画面を落とす。
もともと用事以外連絡を取り合わないため、櫻井から連絡をしたこともない。
(今ごろ、2人はデートでもしてるのか…？)
目を閉じて、2人の姿を想像する。
思えば、松本がなんで自分のことを好きなのかも櫻井にはよく分からなかったし、女の子と歩いている姿がやけにしっくり来た。
(松本には女の子の方がお似合い…？)
いや、だめだ。居てもたってもいられない。
櫻井はジーンズと白シャツに着替えて、駅前に向かった。
ーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーーーー
走って向かった先に、見覚えのある姿はない。
もう2人は出会ってしまったのか。
駅をぐるっと一周して、松本には会えなかった。
2人がデートしている姿が頭に浮かんで、ズキっと胸痛む。
「はあ……」
道端でしゃがみこんで、頭を抱える。
何やってんだ、と深いため息。
自分で、行けば、と言ったくせに気になって見に来るなんて。
自分で自分が嫌になり、頭を掻きむしる櫻井。
しゃがみこんでいる櫻井の横を多くの通行人が通り過ぎていく。
そんな中、誰かが立ち止まる気配がした。
「・・・？」
「櫻井？」
「え…、松本？」
顔を上げると、レジ袋片手にラフな格好をしている松本がいた。
とても、デートに向かうような姿ではない。
フラッとコンビニに寄りました、みたいな…。
「櫻井何してんの？熱中症？大丈夫？」
「え、いや、全然…。松本こそ、今日…」
「今日…、あ、上田さんのこと？とっくにお断りしてるから」
「え？」
「櫻井から言われた後、そのまま上田さんのとこ行って断ってきた」
「…そうだったんだ…てか、言えよ！そうだったら！」
櫻井のこの数日のもやもやした気分は杞憂だったわけだ。
今度は安堵のため息が出る。
松本が櫻井のことを好きだったはずなのに、櫻井は自分ばかり気を揉んでいるような気がしていた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 466人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
血濡れ蛍 - ぽっぷ様、お久しぶりです。ぽっぷ様の作品の、ストーリー性や、表現の仕方に感動しながら読みました。特に、『ハッピーエンドにさようならを』を読んで、思わず涙が出てしまいました。今後も期待しています♪ (2021年4月2日 13時) (
レス) id: 94e4c8c79f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2021年1月11日 0時
