はじまりの空02 ページ42
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放課後、クラス会と称して全員でカラオケにやってきた。
広いカラオケボックスには男女別で座っていたが徐々に席はバラバラになっていき。
松本のとなりに誰が座るのか女子たちが陰で攻防戦を繰り広げていたところ、松本がひとりで座っていることに気づいた櫻井がとなりに座った。
「松本も何か歌う？」
「いや、俺はいい….」
「みんな松本の歌聴きたがってるのに。女子たちがもう松本のとなりに座ろうと必死だよ」
周りの目に敏感な松本は、女子たちからの視線には気づいていた。
でも女性と関わってろくな目にあったことのない松本は高校生になってからはあまり関わらないようにしていた。
「俺がとなりに座るより女子の方がいいよな。誰か呼ぼうか？」
「いい！櫻井にとなりにいてほしい」
「え、おう、そう？」
いつもに増してレスポンスの速い松本に驚きながら、ストレートな表現に思わずドキッとしてしまう櫻井。
周りの女子は櫻井がとなりに座ったことに安心して、すっかりカラオケに夢中。
それぞれが歌ったり、スマホを見たりしている中、大音量で流れる音楽がふたりの距離を近付かせ、松本の気を大きくさせる。
「櫻井、…彼女とか、いるの？」
「え？お、俺？いないよ」
「好きな人は？」
「いないけど」
「そっか」
なぜ松本がそんなことを聞くのか不思議に思いながら櫻井は答える。
松本とは他愛もない話はしたことはあったけど、こんなことを話したことはない。
松本はポーカーフェイスで、櫻井には何を考えているのか分からない。
「松本は？彼女とかいるの？」
「いない。でも好きな人がいる」
「え、へえー！いるんだ！びっくり」
特に仲良くもない自分にそんなことを打ち明ける松本に驚きつつ、学校のプリンスに思い人がいることに少しワクワクしていた。
こうなると、誰が好きなのか気になるところだけど。
不躾に質問するのも嫌がられるかと思いグッと飲み込んだ。
「松本に好かれるなんて…きっと誰であってもうまく行くよ」
櫻井は、本当にそう思ったから松本にそう伝えた。
その言葉に深い意味なんてなかったのだけど。
「本当に？櫻井そう思う？」
「え、うん。まあ…」
「じゃあ、付き合って」
「え？」
「俺と、付き合って」
松本からの衝撃的な言葉は、馬鹿でかいカラオケボックスの中でもはっきりと櫻井の耳に届いた。
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血濡れ蛍 - ぽっぷ様、お久しぶりです。ぽっぷ様の作品の、ストーリー性や、表現の仕方に感動しながら読みました。特に、『ハッピーエンドにさようならを』を読んで、思わず涙が出てしまいました。今後も期待しています♪ (2021年4月2日 13時) (
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作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2021年1月11日 0時
