だって好きだから01 ページ33
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憂鬱な朝が来る。
つい1週間前まで平凡だった俺の生活が黒い影に侵食されて。
最初はなんだこれくらいに思っていたものが、日を追う事に恐怖に変わる。
大学に行く前、安いアパートの階段を降りて郵便受け恐る恐る開ける。
今日こそは何も入っていませんようにと、半ば願いながら中を覗けば。
願い虚しく、郵便受けには丸まったティッシュが何枚も入っていた。
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｢翔くんどうしたの、朝からげっそりして｣
｢…いや、別に｣
朝から不快な気持ちになって、恐怖も倍増して走って大学まで来た。
俺が住んでいるアパートは家賃重視でセキュリティはゆるゆるのところに住んでいるせいか、たまにイタズラみたいに郵便受けに何かが居られることがある。
1週間前はピンクの花が1本入っていて、ただのイタズラだと思った。
そしたら次の日、小さなくまのぬいぐるみ、その次の日は香水など、訳の分からない物が毎日入っていて。
誰か他の女性と部屋をまちがえているのかと思ったけど、大家さんに聞いたらここに女性は住んでないと言われて。
もしかして俺だと分かってやっているのかと思い始めて、一気に怖くなった。
香水が置かれていた次の日、イタズラだと信じて郵便受け開けたら、手紙が置かれていた。
内容は概ね、俺への異常な愛情表現だった。
愛してる、犯したいとかそんな感じ。
相手が男ってことも分かって、男の俺を性的な目で見ているやつがいるという事実にゾッとした。
そして今日、丸まったティッシュ。
男ならわかる、ティッシュの中に何があるかなんて。
怖くてそのまま逃げ出したけど。
それから俺は授業になんて集中できるはずもなく、ずっと恐怖で震えていた。
今日家に帰ったら、もしかしたらストーカーが俺の部屋の前にいるかもしれない。
帰り道に襲われるかもしれない。
そう思うと恐ろしくて、一日中そのことに頭が支配されていた。
｢翔くん？ほんと大丈夫？｣
｢松本…｣
英語の授業のときだけ一緒になる松本潤。
席がとなりになって、いつのまにか仲良くなったんだけど。
この心のもやもやっとした気味の悪さを誰かに聞いてほしくて、松本に今日までの1週間の話をした。
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血濡れ蛍 - ぽっぷ様、お久しぶりです。ぽっぷ様の作品の、ストーリー性や、表現の仕方に感動しながら読みました。特に、『ハッピーエンドにさようならを』を読んで、思わず涙が出てしまいました。今後も期待しています♪ (2021年4月2日 13時) (
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作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2021年1月11日 0時
