君のわがままを許すのは04 ページ30
.
その日、松本が帰ってくると思って起きて待ってたけど、松本は帰ってこなかった。
なぜ帰ってこない。
この俺が起きて待ってやっていたのに。
合コンに行ったっきり、帰ってこない？
これは浮気確定のやつか？
SNSもお互いにやっていないから、どちらかが連絡しないかぎり状況が分からない。
その連絡はいつも松本から来るのに。
なんで昨日も今日も連絡が来ないんだ。
俺はイライラしながらスマホを見つめる。
待てど暮らせど連絡はこない。
痺れを切らした俺は、となりに住んでいる男の合鍵をもって部屋を出る。
いつも松本が来てばっかりだから、合鍵を使うのは初めて。
俺は少し緊張しながらも鍵をあけて、恐る恐る中に踏み入れる。
だけど松本の部屋から人の気配はなくて、リビングに入ったも松本はいなかった。
こんな時間なのにまだ帰ってきていないなんて。
もしかして、昨日出会った女の子とホテルにでも行ったのだろうか。
そのままお泊まりして帰ってきていないのだろうか。
そりゃ連絡もないはずだ。
じわっと涙が滲むのを感じて、そのままぽたぽたと涙が落ちる。
なんで俺が松本のために泣かないといけないんだ。
あいつは俺のことが大好きなはずなのに。
うざいくらい好き好きしてくるやつなのに。
なんで俺を不安にさせるんだ。
腹が立って、ムカついて、涙が出る。
合鍵を机に置いて部屋を出ようとしたとき、ドアが開く音が聞こえて、慌てて涙を拭う。
｢ん？だれ…？｣
松本は玄関にある靴を見て、恐る恐る歩いてるのがわかる。
誰って、俺以外の誰かが勝手に部屋に入ることなんてあるのかよ。
合鍵もってるのは俺だけなはずだろ。
リビングのドアを開けた松本は、俺を見て驚いた顔をしている。
それも気に入らない。
｢翔くん…！どうしたの？｣
｢別に。帰る｣
｢ちょ、なんで！なんか用事があったんじゃないの？｣
第一声がどうしたのって。
来てくれてうれしいとか、俺も会いたかったとかそういうのはないのか。
せっかく俺が合鍵まで探し出して来てやったというのに。
用事がなきゃ来ちゃいけないのかよ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 466人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
血濡れ蛍 - ぽっぷ様、お久しぶりです。ぽっぷ様の作品の、ストーリー性や、表現の仕方に感動しながら読みました。特に、『ハッピーエンドにさようならを』を読んで、思わず涙が出てしまいました。今後も期待しています♪ (2021年4月2日 13時) (
レス) id: 94e4c8c79f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2021年1月11日 0時
