I wish 12 ページ26
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｢ええ？翔くん…？｣
｢…松潤、あの、俺…｣
息を切らしながら話す櫻井に、松本は落ち着くように促す。
しばらく深呼吸をしたあと、櫻井は顔を上げて。
｢さっきの女の人、誰？｣
｢え、今の人？｣
こくこくとうなずく櫻井に、そんなことを聞きにきたのかと疑問に思いながらもただの友達だと答える。
そしたら櫻井はホッとしたように見えて、松本はん？と首を傾げた。
｢翔くん、どうしたの…？｣
｢…俺、松潤のこと傷つけたと思って、その…｣
｢…うん…｣
｢でも、俺…｣
別に傷ついていないよ、とはあえて伝えないのは櫻井の言葉を聞きたいから。
松本のなかで僅かな期待が心の中で生まれる。
｢松潤と、一緒にいられないのが嫌だ…｣
｢………｣
｢しおりより松潤を選ぶ……｣
ぎゅっと松本の腕を握る櫻井。
期待は心の中から消え去って、確信へと変わる。
キャンパスのど真ん中、そんなことは分かってはいても、周りなんて気にならない。
櫻井の腕をつかんで、引き寄せる。
｢…翔くん、ちゃんと伝えていい？｣
｢ん……？｣
｢自分の口から言いたかった。翔くんが好き…
どうしても翔くんを離したくなかった｣
松本の言葉と全身から、櫻井への思いが伝わってくる。
櫻井は胸がドキドキして、櫻井も松本への思いが溢れる。
｢俺も好き…松潤…｣
耳元で聞こえた櫻井の告白に、松本は抱きしめる力が強くなる。
校舎から授業開始のチャイムが聞こえて、辺りに人はいない。
人が人を好きになるのに、時間なんて関係ない。
櫻井は長年一緒にいる今井よりも、松本を選んだ。
好きになったのは松本の方なのに、むしろ引き離された分、櫻井の方が思いは強く。
松本の頬に手を添えて、櫻井の方から唇を寄せた。
櫻井とキスをしている間、目線をあげると、そこには食堂から2人を見下ろしている今井が見えた。
松本の心には今井に対する同情が芽ばえる。
松本はそんな今井に向けて勝ち誇った笑みを見せた。
END
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血濡れ蛍 - ぽっぷ様、お久しぶりです。ぽっぷ様の作品の、ストーリー性や、表現の仕方に感動しながら読みました。特に、『ハッピーエンドにさようならを』を読んで、思わず涙が出てしまいました。今後も期待しています♪ (2021年4月2日 13時) (
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作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2021年1月11日 0時
