I wish 09 ページ23
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今井は途端に顔を明るくして櫻井に声をかける。
なぜ櫻井がここにいるのか、松本は少し戸惑った。
｢あ…松潤…｣
｢…なにこれ｣
気まずそうな櫻井。
まさか、と松本は焦りを感じる。
｢翔、松本くんが翔のこと好きなんだって｣
｢………｣
｢私か松本くん、どっちか選んで｣
今井の言葉に、松本も櫻井も固まった。
今井のその自信がどこからくるのか松本には分からなかったが、今が最悪な状況に変わりはなかった。
こんな形で櫻井に想いを伝えたくなかったのに。
この状況においては今井の方が圧倒的に有利だ。
長年の友達と、つい数日前に親しくなっただけの同級生。しかも自分に好意を抱いている。
どっちかを選べなんて、自分を選ぶはずがない。
松本は櫻井の顔を見た。
好意を抱かれていると知って、戸惑っている表情の櫻井と目が合った。
(……負けだ…)
完全に負けたと思った。
今井が正攻法で攻めてくるはずなかったんだ。
生えた芽をすぐに摘み、踏み潰す女だからこそ、今まで櫻井のとなりを維持できていたのだ。
どちらかなんて選べないというような櫻井。
今井を選びたいはずなのに、自分に気を使っているのだろうと松本は悟った。
｢逃げるの？松本くん｣
｢おい、しおり…！｣
教室から出ようとする松本に、勝ち誇ったように言う今井。
松本は何も言い返さずに、最後に櫻井を一瞥して教室から出た。
勝ち誇る今井のとなりで、櫻井は松本の表情が頭にこびりついて、胸がぎゅーっと痛むのを感じた。
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血濡れ蛍 - ぽっぷ様、お久しぶりです。ぽっぷ様の作品の、ストーリー性や、表現の仕方に感動しながら読みました。特に、『ハッピーエンドにさようならを』を読んで、思わず涙が出てしまいました。今後も期待しています♪ (2021年4月2日 13時) (
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作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2021年1月11日 0時
