ハッピーエンドにさよならを10 ページ14
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人にされて嫌なことは相手にしちゃいけないって。
誰にでもわかることなのに、なぜか俺は自分にされた嫌なことを相手にもしてしまう。
それどころか、自分は関わりたくないからと周りの人にやらせる。
父親と同じ最低な奴なんだ。
ごめんな、母さん、結局こんな男に育ってしまって。
外はまだ雨。
ザーザーと雨の音だけが、沈黙の部屋に響く。
「....一緒に死ぬか、松本」
天井を見つめた櫻井がポツリとつぶやいた。
本気なのか冗談なのか、櫻井の表情を見てもわからないけれど。
それも悪くないかな、と思った。
「死のうか、一緒に」
俺がそう答えると、櫻井は穏やかに微笑んだ。
初めてみるその表情が、なんだかやけに悲しくて。
死ぬことでこの苦しみから解放されるのなら、と。
櫻井のとなりに横になった。
「一緒に死んで、あの世で幸せになろう」
仰向けになって、櫻井の手を握った。
櫻井はなにも言わないまま、俺の手を握り返す。
このままここで過ごして、目が覚めなければ良い。
俺は天国には行けないかもしれないけど、眠りにつくときくらい幸せを夢みたっていいだろう。
このまま冷めない夢を望んで、俺はそっと目を閉じた。
END
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血濡れ蛍 - ぽっぷ様、お久しぶりです。ぽっぷ様の作品の、ストーリー性や、表現の仕方に感動しながら読みました。特に、『ハッピーエンドにさようならを』を読んで、思わず涙が出てしまいました。今後も期待しています♪ (2021年4月2日 13時) (
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作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2021年1月11日 0時
