黙って俺に愛されてなよ。【我妻善逸】

廿陸 ページ27

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怖い夢を見た
そうとても怖い夢

けれど思い出せない





「はぁ.....は....っ」




飛び起きると共に心拍数は早くなり
恐怖心が胸にこびりついていた








「ん、起きたの？...って大丈夫！？！？」






少し先で氷枕を持ってきてくれようとしていた善逸さんとばったり会った






「っ..ぜん、いつさん」



善逸さんを見ると何だか涙が溢れ出てしまい
段々ぽろぽろと涙の量が増えた






「Aちゃん、？」




私の異変に気づいた彼は氷枕を下に落とし一目散に駆け寄ってくる


そしてぎゅっと抱き締めた







「どうしたの？何処か痛い？」

「違う、違うの...っ」





ぎゅっと抱き締め返し
善逸さんの着物の袖で涙を拭われる

すると段々と落ち着いてきて涙は少し勢いを落とした







「怖い、夢を見たんです」

「覚えていないけどとても辛い感じがした」



「怖い、善逸さん、怖いです」







こんな事鬼の彼に言って何になるのだろうと前の私なら思っていただろう

けれど今はこんなにも彼に安心させて欲しくて甘やかされたくて愛されたくて堪らない







「大丈夫、君はもう俺のだから」

「他の誰でもない」

「だから心配しないで」



「俺が愛してあげるから」








普段より一段と甘く優しい声色で善逸さんは言う


精神が弱っていたせいか
なんだか心ですとん、と何か落ちる感覚がした





この歪な幸せに浸ってしまうのはいけないこと？

いや、例えいけなかったとしても






「...っ」





私は何としてでも浸るだろう





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