アイノユウヒ2〜family Love〜

慧side ページ37

病院から帰ってきて、リビングにみんな集まる

大ちゃんも涼介も学校帰りで疲れてるはずなのに、宏太の招集がかかれば文句も言わずに集まった


何から話せばいいのか分からない、
そんな感じの宏太

俺の話をするっていうことは何となく分かってたけど、この気まずい雰囲気に耐えられそうにない…

立ち上がって自分の部屋に閉じこもろうかとも思ったけど、この空気の中、身体が硬直して動けない

俺から話すべきなのか、
いや、俺から話すことなんて何も無い

治らない治療なんかしたくない、みんなと同じ生活が出来ない学校なんて行きたくない

これは俺の勝手で、みんなに迷惑をかけないから、ほっといてくれないかな

そう言いたい


でも、治療拒否して体調が悪くなったら病院に連れていかれる
それでまたお金がかかる…

それでは宏太たちに迷惑がかかってしまう…



それなら元から俺がいなければいいんじゃないか？

この家を出て、一人で死ぬまで適当に生きていけばいいんだ



そう決断するのは早かった

それなのに立ち上がることも出来ないのは、この空気のせいだけじゃなくて
きっと俺にそんな勇気がないからだ



大「……慧…」


大ちゃんに名前を呼ばれ、反射的に顔をあげる

と、同時に手を握られ左手に大ちゃんの右手の体温が伝わるのと、振動が伝わる


大ちゃん、震えてるの？




…いや、違う


震えてるのは俺だ






ーﾎﾟﾀｯ



その握られた手に、一雫が落ちたと思い大ちゃんの顔を見れば




慧「……大ちゃん、泣かないで…」



なんで大ちゃんが泣くの？

泣きたいのは俺の方だよ…




大「…慧の代わりだよ。ｸﾞｽｯ……慧、お願い…学校には行かなくてもいいっ……だから…だから治療は受けて欲しいっ…」



ポタポタと流れてく大ちゃんの涙



宏「…慧、みんな慧には生きて欲しいんだ…」



さっきまでみんなを集めておいて何も話せなかった宏太が、大ちゃんに便乗する



光「慧、注射だけはしよ？ね？…お願い…」




みんな、何がわかるの…？



毎日4回痛い注射をしなきゃ生きていけない

みんなは何もしなくて生きていけるんだから何とでも言えるんだ…









違う、違う…




分かってる、こんなこと考えてしまう俺がいけないのは


みんなが心配してくれるのも、俺に生きて欲しいって思ってるからこそ言ってくれてることも、死んだ両親の分まで生きなきゃいけないのも、


全部分かってる



分かってるのに、不安なんだ…

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