アイノユウヒ2〜family Love〜

慧side ページ31

それに、それ以上にお兄ちゃんである光や宏太に面倒を見てもらってる、大ちゃんに毎日支えてもらってる、弟の涼介にまで心配をかけてる

こんな俺を1度も悪く言ったことはない

そんな優しい家族がいるんだから弱音なんて言っちゃいけない

そう決めてたのに……




大「ただいま！慧！………けい…？」


大ちゃんが帰ってきた…

クラスはなんて言ってたの？俺の事、なんて言ってた？

聞きたい、けど聞けない

…怖い


光「大ちゃん、慧のこと頼んでいい？さっきから何も話してくれないんだ…」


ずっと傍に居てくれた光は、大ちゃんが来てそっと離れた

大「…慧、怖いの？」


…大ちゃんは
なんで俺が俺の気持ちが分かるの？

慧「……っ…こわ、い…」


きっと全部分かってる大ちゃんに、光にも言えなかった気持ちをほんの少し、声に出してみた


大「…そっか……慧、頑張ってるね」


否定したり、追求せずに、そう言ってくれるのは大ちゃんの優しさ

でも、それさえも今はキツく感じてしまった


慧「…っ…もっ、頑張りたく、ないっｸﾞｽｯ…」


思わずそう言ってしまい、ハッとして顔をあげる

顔をあげ、目が合えば
大ちゃんの表情は今の俺の心の中を表してるようで、いつもの明るい大ちゃんの顔じゃなかった


大ちゃんにそんな顔をさせてしまってるのは俺だ

ごめん、ごめんね大ちゃん





でも、大ちゃんにしか言えないと思う




今だけ、今だけだから



弱音吐いてもいい…？









助けて…






慧「…なんで俺だけ病気なの…も、注射もしたくないっ、学校も行きたくないっ…！」





…言った後に後悔する


幼稚園、小学校、中学校、高校と、双子だからというのもあるけど常に傍に居てくれた大ちゃんに、

ずっと俺の支えだった大ちゃんに、言ってしまった…


ごめんなさい、ごめんなさい









大「…大丈夫だよ、慧…」



大ちゃんはそれだけ言って俺の頭を撫でてくれた

その手に安心して、俺はまた涙を流した


こんな酷い俺の言葉を、大ちゃんは責めたり否定したりせずに、

いつもみたいに、太陽みたいな笑顔をこんな俺に向けてくれる


いつもならその笑顔を見て、俺もつられて笑顔になるのに、今はそれでも笑えなかった



ガチャ

涼「ただいまっ！！」


涼介の帰ってきた音が聞こえる

そう言えば涼介に保健室連れてきてもらったんだ


涼「……慧ちゃん…？」

慧「…っ…！…」



涼介、心配かけてごめん…

慧side→←慧side

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す