アイノユウヒ2〜family Love〜

大貴side ページ29

.


「なんだ！早く言ってくれれば良かったのに！」

「慧のやつ、今は大丈夫なのか？」

「うぅ、姫に会いたくなってきたぁ…」

「よし！うちのクラスで姫を守るぞ！」

「おー！！！」



なんて最高なクラスなんだろうか

慧が一型糖尿病だと知っても、誰も悪く言わないし
それ以上に慧のことを大切に思ってくれている

慧がいない今も、雄也の話を聞いて、心配してくれたり、協力するよ、と言ってくれている


みんなちゃんと理解してくれてた
それがなにより嬉しかった


高「良かったな、2人とも頑張ったな」


雄也が担任で本当に良かった

分かってくれる先生がいて、協力してくれるクラスメイトがいる

これ程幸せな環境はない




早く帰って、慧に知らせよう

慧の周りには良い人ばかりだよって





…それでも、もう慧の心は壊れかけていたんだ



.

.

.



5限が少し早く終わってダッシュで家に帰る


大「ただいま！慧！」


真っ先に慧に飛びつけば、いつもみたいに「おかえり」って言ってくれると思ったのに、慧からその言葉は聞こえてこなかった



大「…けい…？」


俺の顔をじーっと見てるその目には、今にも溢れそうな涙が溜まっている



光「大ちゃん、慧のこと頼んでいい？さっきから何も話してくれないんだ…」



ひかにそう言われ、慧を抱きしめると、溜まっていた涙が溢れたのが肩に伝わる

抱きしめたその身体も、微かに震えてるのがわかる


…どうしたの、慧


最後に会ったのは保健室

病気のことをクラスに話すか話さないか、悩んだけど誤解を解くためにも話すことを決めてくれた


…はずだったけど、やっぱり本当は嫌だったのだろうか

みんなの反応が怖くなってしまったのだろうか



大「…慧、怖いの？」


何から話していいか分からなくて、

でもまずは今慧が何を考えてるのか、知りたかったからこう聞くしかなかった


慧「……っ…こわ、い…」


何が怖いの？

なんて質問攻めにしたら慧の心はもっと壊れてしまう

慎重に、大切に慧の気持ちを知りたい



1人で抱えないで…


大「…そっか……慧、頑張ってるね」

慧「…っ…もっ、頑張りたく、ないっｸﾞｽｯ…」


膝を抱えて丸くなる慧

頑張りたくない、

そう言った


悲しかった、
慧にそう言わせてしまったことが

悔しかったし、ここまで慧を追い詰めた自分にイライラする


慧「…なんで俺だけ病気なの…も、注射もしたくないっ、学校も行きたくないっ…！」



慧の心が壊れた瞬間だった

慧side→←涼介side

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す