アイノユウヒ2〜family Love〜

慧side ページ13

.







息が苦しい、足が重い、早く横に寝転がりたい



持久走はなんのためにあるのか全く分からない

なんでこんなしんどいことをしなければならないのか




俺より半周以上先を行ってるであろう大ちゃんの姿は見えない


さすがに女の子よりは早いと思っていたけど、陸上部の女の子に今抜かされた



玉「慧！お先！」


慧「嘘だろ…」




まさかの玉は俺より一周分早いらしい


俺の後ろには誰か居ないのか、ふと後ろを向くと、女の子たちと、ぽっちゃりした男の子、運動嫌いで有名なガリ勉君だけだった

まじか…



今日の俺、足遅くね？

みんなが早くね？



慧「っはぁ〜！はぁはぁ…も、死ぬ…持久走やりたくねぇ…」



やっとのことで7km走り終えた
ゴール付近にはもう男子ほとんど居て、恥ずかしかった



「姫！お疲れ様です！」

「早かったです！可愛かったです！」


早かったは嘘だろ
俺は女子じゃねー

なんてツっこむ気にもなれないので放置




大「お疲れ様、大丈夫？」

慧「無理、しぬ」




とりあえず大ちゃんに倒れ込めば、はいはい歩いて、なんて歩かされる

この際、乳酸が溜まるとかどうでもいいから早くベッドに潜りたい




「大ちゃん！片付け手伝ってー！」

大「はーい！…ごめん、慧、大丈夫そう？ちょっと手伝ってきていい？」


行ってらっしゃいと言うのもしんどいので、手をヒラヒラとさせる



大ちゃんはほんと優しいんだから

体育係に任せておけばいいのに、進んで手伝いに行くなんて、ほんと良い子



玉「大丈夫？慧」

慧「うん、へーき」


1人グランドをフラフラと歩いてれば玉に声をかけられた



高「みんな終わったか？この後は持久走大会の説明とコース案内するから、今から5分休憩な〜」




遠くで雄也の声が聞こえ、5分休憩は芝生で寝っ転がろうと玉を誘う

相変わらず大ちゃんは手伝いをしてるようで5分休憩なんて無いようだ

まあ大ちゃんは休憩なんて要らないだろうけど





玉「そんな寝っ転がる時間ねーけど」


慧「いーのいーの」




少しでも寝転がりたかった俺はすぐにゴロンと横になる

クラスの男子共が「姫が寝てる！」「可愛い！」なんて聞こえてくるがこれも無視につきる



.

.

.






玉「…ぃ…けーい…おーい！けーい！」




いつの間に5分経ったのだろうか、さっきから玉に声をかけられるも身体が起こせない

慧side→←大貴side

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す