22 ページ22
(勇次郎side)
ちょっとAを連れ出そうと、突っかかってくる愛蔵と口喧嘩をしながら楽器店に着けばうるさかった愛蔵が何故か急に黙り込んだ。
僕としては静かになったから何も言うことないけれど、その顔が明らかにおかしくて。
「何?急に黙ったりして」
「……俺…ちょい帰_______
「あっそ。じゃあ僕の勝ちで_______
「それはダメだっつーの!」
「だって帰るんでしょ?はい僕の勝ち確定」
店内から見えにくそうなところに身を隠す愛蔵。
え、普通に意味分かんないんだけど
「そんなとこ隠れて何してんの?どうやってA連れ出すわけ?」
「……店に入らずお前がAを連れ出せ」
「は?店に入らず?バカ?」
いつもなら強気に言い返されるような言葉を言っても突っかかってくるどころか愛蔵は顔をしかめ続ける。
「…じゃあせめて何か僕にメリット出してよ」
「……初手は譲ってやる」
「言ったね?じゃあ遠慮なく僕から行くから」
渋々といった表情で頷く愛蔵に一息ため息を吐いてからスマホを手に取りAとのトーク画面を開く。
Aと数年ぶりに再会したあの日、Aと連絡先を交換していたけれど何気に使うのは初めて。
連絡先を交換すれば一般的によくあるであろう『よろしく』とか当たり障りのない挨拶すらしていないAとのトーク画面。
一発目の言葉が『楽器店から出てきて』やら『早く』やら『あと一分以内に出てこなかったら気付くまでスタ連しまくるから』っていうのもどうかと思わなくはないけれどA相手なら変に気を遣う必要はないし別にいい。
……ていうか外めっちゃ暑いんだけど…太陽ギラッギラすぎでしょ
A早く出てきてくんないかな
ただ店内をジッと見るだけの愛蔵と、涼しそうな店内からなかなか出てこないA。
真夏のギラッギラ暑さも相まって何だか無性にイライラしてただ無心で同じスタンプを左手の親指で連打。
もういっそのこと電話してやろうかと思い始めた直後、ようやく近くのドアが開いた。
「おっそい。何分待たせんの」
一つに結われている髪を掴んで少し後ろに引っ張れば変な声を出したA。
髪を引いた力が強かったのか後ろへよろめいたAの背中は僕の身体に当たった。
91人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
若葉 - あぁぁぁぁ!!待ってましたぁぁ!私の好みにドストライクです! (2022年11月19日 16時) (レス) @page28 id: 7981b3d9d1 (このIDを非表示/違反報告)
朔藍(プロフ) - ひよっこさん» 大丈夫ですよー!ご心配ありがとうございます。 (2022年8月3日 19時) (レス) id: 7586c4e066 (このIDを非表示/違反報告)
ひよっこ - 掛け持ちして体、特に頭は大丈夫ですか‥?パンクしていませんか (2022年8月3日 17時) (レス) id: 91bebd90a7 (このIDを非表示/違反報告)
朔藍(プロフ) - ひよっこさん» 私はどっちも好き…ですね……曲を聴きながら書くことが好きなんですけど、好きな曲が一筋縄ではいかなかったり切なかったりするストーリーの恋愛曲が多くて。そういうのを聴いてると自然と物語もそっち寄りに…って感じです… (2022年8月1日 17時) (レス) id: 7586c4e066 (このIDを非表示/違反報告)
ひよっこ - 朔藍さんは甘々とシリアス どっちがお好きですか、私は甘々と溺愛系が好きです。 (2022年8月1日 15時) (レス) id: 91bebd90a7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:朔藍 | 作成日時:2022年7月30日 20時