幼馴染 【染谷勇次郎】

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(勇次郎side)





どうにか気分を変えたくて無理矢理押し掛けたAの家から割と近い公園。



愛蔵とダンスの振りを何度かゆっくり、お互いに動きを見て確認しながらやってみる。







「「………」」







当たらない……



……Aの指摘がピンポイントすぎてなんか最早怖いんだけど…





振りの動きはまだバラバラだし合わないところばかりだけれど、今日のレッスンより明らかに良くなっていることは明らかだった。



次は動画を撮って自分たちの動き確認をして、少しずつでも合うように練習を重ねていく。



数時間前まで先に光が全く見えなかった状況に、なんとなくではあるけれど光が見えた。





…よかった……







『それでステージに立てるの？』







レッスンでそう言われ、自分では懸命に頑張っているつもりだったから余計にどうすればいいのか分からなくなってしまっていた。





自分ばかりじゃ、駄目だ。



僕一人でどうにかしようとしたら、駄目だ。





なんで僕と愛蔵のちょっとの言い合いでAはすぐ分かったんだろ…



……すっご…





長時間動きっぱなしだったからか、息が切れ膝に手をついていた。



暑さなのか疲れなのか少し怠くて更に深く俯けば、髪や額からポタタっと汗が流れ落ちてくる。



そのまま顔を俯かせてしゃがみこめば、頭に何かがパサッとかけられた。



垂れてきたから気になってきて触ってみればそれは、柔らかな触り心地のいいスポーツタオル。



タオルを取ってから顔を上げれば、愛蔵が汗をタオルで拭きながらスポーツドリンクをがぶ飲みしているところだった。





……あれ…Aが持たせてくれたやつ…か…



タオルもスポーツドリンクも





また流れ落ちてきた汗をタオルでグイッと拭い、置いてある保冷袋に入っているもう一本のスポーツドリンクを取り出す。



キンッキンに冷えているそれは、練習をして熱くなっている身体にはこれ以上ない程有難いものだった。





……お腹空いた…鞄に何か入れてたっけ…



あ…そうだ、Aが確か





保冷袋の横に置いてあるビニール袋が視界に入る。



何か入っていないかと思いビニール袋の中を見てみれば入っていたのは、コンビニおにぎりが二つ。



それも、僕が好きなツナマヨ。




　

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