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(勇次郎side)
「ここ、私のお気に入りの場所でさ」
「…ふーん」
「花火大会のときとかすごいよ。ドンピシャで正面だしここ穴場だから花火一人占めーって感じで」
「夜景とかも良さそう」
「めっちゃいいよ。イルミネーションみたい」
隣のAに視線を向けてみれば、瑠璃色の瞳に夕日を映していた。
僕に見られていることには気付いていないらしく、僕の方を向かないままAは表情を和らげる。
──────ドクン
……気のせい
気のせい、気のせいなはず
「…ん?」
───────ドクンドクン
「な、んでも…ない」
「…そう?」
………なわけない
……違う
違う違う。そんなんじゃない
Aに対して持ってる感情は、そんなものじゃない。
あくまで、友情。
あくまで、幼少期を共にしていた幼馴染。
気を遣わなくていい心地いい関係を表すのは、それだ。
「あ、誰かにここ教えちゃダメだからね」
「そうなの?」
……別に、教えるような関係の人もいないけど。
「言ったじゃん。私の特別な場所だって。一人になりたいときとか落ち着きたいときによく来るの。だからあんまり人に教えたくなくて」
「………僕はいいんだ」
「…んー……だって一応幼馴染だし?」
「……ふーん」
『幼馴染』
照れ隠しのようにはにかみ笑うAのその言葉がうざったく聴こえたのも、多分気のせい。
……その笑みすら、好きだと思ってしまったのも。
全部全部。
…今はメンタルがいつもと違うから。
だからこんなことを思うだけ。
「この子の散歩してたら見つけてさ。よーしよし」
しっぽを元気よく振る小型犬のふさふさ毛並みを撫でながら言うA。
……なんとなく。
犬を飼っているから親近感が沸いて。
Aと同じようにふさふさ毛並みを撫でれば、人懐っこいのか全く嫌がらずむしろブンブンしっぽを振る小型犬。
「犬飼ってるの?なんかめっちゃ慣れてる」
「うん。この犬、なんて名前?」
「ココア」
「……茶色だから?」
「それと私がココア好きだから」
「ぶふっ、めっちゃ単純…あ、やっば、ツボ、った……ふははははっ」
「なっ、いいでしょ別に!笑うな!」
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若葉 - あぁぁぁぁ!!待ってましたぁぁ!私の好みにドストライクです! (2022年11月19日 16時) (レス) @page28 id: 7981b3d9d1 (このIDを非表示/違反報告)
朔藍(プロフ) - ひよっこさん» 大丈夫ですよー!ご心配ありがとうございます。 (2022年8月3日 19時) (レス) id: 7586c4e066 (このIDを非表示/違反報告)
ひよっこ - 掛け持ちして体、特に頭は大丈夫ですか‥?パンクしていませんか (2022年8月3日 17時) (レス) id: 91bebd90a7 (このIDを非表示/違反報告)
朔藍(プロフ) - ひよっこさん» 私はどっちも好き…ですね……曲を聴きながら書くことが好きなんですけど、好きな曲が一筋縄ではいかなかったり切なかったりするストーリーの恋愛曲が多くて。そういうのを聴いてると自然と物語もそっち寄りに…って感じです… (2022年8月1日 17時) (レス) id: 7586c4e066 (このIDを非表示/違反報告)
ひよっこ - 朔藍さんは甘々とシリアス どっちがお好きですか、私は甘々と溺愛系が好きです。 (2022年8月1日 15時) (レス) id: 91bebd90a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朔藍 | 作成日時:2022年7月30日 20時