幼馴染 【染谷勇次郎】

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(勇次郎side)



置いてあったピアノにつられて入った、楽器店。



なんだか、ピアノが弾きたくなって。



家にピアノがなくて最近はというか、ここ数年触れてすらいなかったのに、何故かどうしても今弾きたくなった。



お客さんがちらほらいる中、ピアノを弾かせてもらおうと店の人に許可を取ろうとした。





そしたら、どうだ。





小さい頃ピアノ教室に通っていた頃の友達が、店員の格好でレジ近くの椅子に座りながら肉まんを頬張っていた。





向こうは僕のことを覚えているかなんて、分からない。



小さい頃の話だし、何年も会ってすらいなかったのだから。



でも







「…そっちこと……ほんとに勇次郎？」



「めっちゃ声変わりしてる」







え、まずそれなの？？





なんだか、一気に気が抜けて。



猫かぶりも無意識にやめて、素の自分で話していた。







「ねえA」



「なに、肉まんあげないよ」



「そんなの冗談だし。…ピアノ、弾いていい？」



「え、うん。どうぞ」



「Aはさ、今もピアノやってんの？」



「んーん、勇次郎がやめて1年後くらいにやめた」



「へー、なんで？」



「なんとなく」



「ふーん？」






　

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