幼馴染 【染谷勇次郎】

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(貴方side)





学校が終わったら、家の近くにあるおじさんの楽器店で店番をする。



いつもの日常。





近くにある高校の制服を着た、吹奏楽部や軽音楽部らしき人。



楽器が趣味のおじいさん。



音楽教室をしているお姉さん。



すっかり顔見知りになっている、常連のお客さんたち。





お店に用ができるのは回数的に多くはないから、いつもお客さんはちらほらいる程度。



今日おじさんがお駄賃代わりだとくれたのは肉まん。



その肉まんを一人で頬張りながら数学の課題を広げる。





いつもの、日常。





……の、はずだった。







「……え…？」







正面から聞こえた、疑問の声。



不思議に思い、顔を上げてみれば

記憶に懐かしい人物が、近くのCDショップの紙袋を持って立っていた。










私の平凡な日常が、動き始める。










私を見ながら目を見開く目の前の男子。





背も、声も、纏う雰囲気も


記憶の中にいる彼とは大分違うけれど





何年経っても何故か忘れられずにいた、綺麗な紺瑠璃色の髪と瞳。







「…A？」



「え…覚、えて……」



「え、ほんとにAなの？」



「…そっちこと……ほんとに勇次郎？」



「そうだけど」



「マジか」







え、こんな再会ある？



マジ？会うの何年ぶりだろ…



……ていうか







「めっちゃ声変わりしてる」



「当たり前でしょ。何言ってんの」



「昔の知り合いって知って態度変わりすぎか」



「え？だってほんとにAなんでしょ？」



「そうだけど」



「だったら別に素でいても問題ないじゃん。あ、その肉まんちょーだい」



「おいおいおいおい、これ、私がお駄賃代わりにもらったやつだから」



「お駄賃て…小学生？」



「その顔やめろ！！」






　

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